秋深まる10月末。紅葉が徐々に色づき始め、見頃まであと少し。写真を撮るものにとっては待ちに待った季節。
そんな見頃目前にして、私にはあえて人が集まっていない時期に一度ゆっくりと訪れてみたかった京都の紅葉の名所がありました。
京都・瑠璃光院の特別拝観に行ってきた!
今回向かったのは、京都の八瀬という場所にある瑠璃光院。
ここは文化財の保護のために春と秋のみ限定で一般公開されていて、この秋は10月1日から12月4日の約2ヶ月間だけ内部を見学することができます。
八瀬とは、天武天皇が背中に負った矢の傷を癒した場所で、それ以来平安貴族や武士たちの保養地として愛された土地なのだとか。『背中の矢傷→矢背(やせ)→八瀬(やせ)』というわけですね。
明治時代には三条実美も愛していたという、由緒正しいお寺です。
正門をくぐり一歩踏み入れると、俗世と切り離されたかのような幻想的な雰囲気に。思わず深呼吸してしまうくらいの一面の緑が私たちを出迎えてくれました。
緑の中を進むと玄関に到着。靴を脱ぎ2階へ上がると、私たちが一番楽しみにしていた空間が目の前に現れました。
夢か現か分からなくなってしまうような、幻想的な空間。
青葉と秋色に色づき始めた葉を美しく反射しているのは床かなと思われるかもしれないんですが、実はお部屋に置かれた黒い机なんです。
緑に囲まれたお部屋に腰かけた時に自然と背筋がしゃんと伸びてしまう、凛とした空気が流れる場所。隅々まで行き届いた『日本の美』に心が洗われていくのを感じます。
どこを切り取っても日本絵画のようなお部屋。
紅葉シーズンを少しずらして来たおかげで、人もまばら。ピーク時には入場制限がかかることもあるそうなんですが、この日はゆっくりじっくりとこの空間を満喫することができました。
ほのかに色づいた葉もまた美しい。
2階のお部屋を隅々まで満喫したところで、私たちは1階へ。
パンフレットなどで取り上げられているのはもっぱら先ほどのお部屋の景色ばかりだったので、あとはゆっくり流し見して終わりかなと思っていたんですが、そこはさすが瑠璃光院。1階のお部屋もとっても素敵。
2階の景色は華やかな印象でしたが、1階は『静寂』や『幽玄』という表現が似合うしっとりとした美しさ。
本当に日本絵のような空間で、派手ではないけれど心にしみる美しさ。こういうお部屋に感動するようになるなんて、私も大人になったなあ。
瑠璃光院を訪れて改めて感じたのが、畳の素晴らしさ。
歩くとかすかに聞こえる床がきしむ音、陽に照らされて上品に輝く姿。思わず腰かけたくなる、腰かけると自然と心がほっこりするような感覚。普段フローリングでしか生活していない分、畳の魅力をひしひしと感じるひとときでした。
おわりに
夢か現か分からなくなるような幻想的な空間、細やかに手入れされたお庭。この八瀬という土地がかつて貴族や武士にとって癒しの場所であったのも納得です。
私たちも本当に癒されましたし、瑠璃光院さんが大事になさっているという『心のやすらぎ』をたっぷりと得ることができました。
これから本格的に紅葉が見頃を迎える秋の京都。瑠璃光院は数ある名所の中でも群を抜いて『日本の美』を感じられるスポットだと感じました。次は真っ赤に染まった季節に訪れてみたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
【補足】撮影OKですが三脚は使用禁止なので、カメラを持って行かれる際は注意してくださいね(*’▽’)