撮れる写真のバリエーションを増やしたくて手にした超広角レンズ。でも、買ったは良いけど上手く使いこなせない…と悩んでいる方も少なくないと思います。
使いこなしが難しいと思われがちですし、私自身かつてそう思っていた一人だったんですが、ポイントを押さえれば全然難しくなくて、気付けば超広角レンズは私のカメラライフに欠かせない存在になっています。
というわけで!今回は私が考える超広角レンズを使いこなすためのポイントを5つシェアしてみたいと思います(*’▽’)作例盛りだくさんでいきますよーう!
作例で分かる!超広角レンズを使いこなすための5つのポイント!
はじめに:超広角レンズの使いどころを押さえよう
『超広角レンズで上手く撮れない・使い方が分からない』という悩みは『超広角レンズの使いどころが分かっていない』から来ていることも少なくなかったり。実は私もその一人でした。
というわけで、5つのポイントに入る前に、簡単に超広角レンズの使いどころを押さえておきましょう(*’▽’)
超広角レンズの特徴は大きく分けて『広い範囲が写ること』と『パース効果が得られる』ことの2つ。
これらの特徴を活かすことで、超広角レンズはこんな場面で大活躍するんです。どん!
- 広いところを広く写す
- 狭いところを広く写す
- 大きな被写体を全体的に写す
- 写真に奥行きを表現する
- 被写体の存在感を強調する
文章だけで読んでいてもピンと来ないかもしれないんですが、作例を見れば『こういうことか!』と分かるはず。というわけで、いよいよ本題に入っていきましょう。
1.画面上半分か下半分どちらかを広く写す
広い景色を広く写したいという思いから超広角レンズを買った人は多いはず。
ただ、いざ広い景色を目の前にしてシャッターを切ってみたものの、なーんかパッとしないとモヤモヤしている方も少なくないのではないかと思います。
私もまさにそのモヤモヤを抱えていた一人だったんですが、撮り続けるうちに、今までの超広角写真がパッとしなかった理由が空の写しすぎであることに気付いたんです。
というのも、超広角レンズを使い初めて間もない頃の私は、広い景色を広く撮る場面において決まって二分割構図もしくは景色よりも空を広く写す構図で撮っていました。
二分割構図というのは、上のように『画面の上半分:下半分=1:1』で写す構図のこと。撮影の日の青空だとすっごく嬉しいですし、空を広く写したくなりますよね。
それにせっかく広く写るレンズなんだし、すべてを広く!!!とも思ってたんですが、実はこれが私の超広角写真が垢抜けない原因だったんです。
その理由は、写真の主題がボヤけてしまうから。
私は『見る人の目をパッと惹きつけるような1枚が撮りたい』と考えているんですが、そのためには『その写真が何を撮りたいのか(=主題)を明確にすること』が大事。
その点において、二分割構図は、空が主題なのか・景色が主題なのかよく分からない1枚になりがちなんですよね。
また、全てを広く写そうとすると、上の作例のように必然的に被写体ひとつひとつが小さく写ってしまう。なので、何が主題なのか分からない『ただ広く写しただけ』というパッとしない写真になってしまうわけです。
空と景色どちらが主題なのかはっきりしていないことが、自分の撮る写真にメリハリやインパクトがないと感じてしまう原因だった。
このことに気付いてから、超広角レンズで広い景色を広く撮りたい場面では、画面上半分・下半分どちらかを広めに写すことを意識して構図を決めるようにしています。
じゃあどんな基準で上半分・下半分どちらを広く写すか決めればいいの?という話なんですが、その写真で一番写したい部分を広く取ることが多いです。
例えば上の作例であれば、渓流の周りの美しい景色を撮りたかったので、それを主題として下半分を広めにする構図にしています。
空が絡んでくる風景では、その空や雲がそれ単体で写真の主役になれるかどうかで判断しています。
例えば大きな入道雲だったり、幻想的な紫やオレンジ色の夕焼けだったり。それだけで写真の主役を張れそうなドラマチックな空であれば、上半分を広めに写すことが多いです。
逆に、単なる青空はそれだけで写真の主役を張るのは難しいケースがほとんど。その場合は、空はその景色を美しく引き立てる副題として景色(下半分)を広く写すことがほとんどです。
2.超広角だからこそしっかりズームを使う
私が初めて手にした超広角レンズは、タムロンの10-24mmというズームレンズだったのですが、ついつい一番広い画角で撮ろうとしがちで。
でも、撮り進めるうちに、超広角レンズだからこそしっかりズームで調整することがすごく大事だということに気が付いたんです。
一つ前のポイントでもお話ししたように、見る人の目をパッと惹きつける1枚を撮るためには主題を明確にすることがとっても大切。
ですが、超広角は写る範囲が広すぎてなんでもかんでも写り込んでしまうので、これが本当に難しいんですよね。
また、超広角レンズで広い景色を広く写すとき、目の前に広がる景色全体が写真の主題となることも多くて。そうなるともう明確にすべき箇所が分からなくなっちゃうわけです。
なので、私は超広角レンズで広い景色を広く写したい時は、『主題を明確にする』というより『無駄なものを写さず・無駄に広く写さず』を意識するようにしていて。
そのために活用するのがズームなんですね。
何が無駄なものかは撮りたい景色やイメージによって異なるんですが、私がよくズームで調整するのが空を写す範囲と写真の周辺部に写り込んでいるものの整理。
具体例を挙げると、上の写真で矢印で示しているポイントあたりです。
細かいなあと思われた方もいらっしゃるかもしれないんですが、こういったちょっとした調整をズームで行うだけで『とりあえず広い写真』ではなく『適切な広さの写真』になると感じています(*’▽’)
3.パースを活かす場面では水平・垂直を特に意識する
ここまでは超広角レンズの『広く写る』という特徴を活かすためのお話でしたが、ここからはもうひとつの特徴であるパースを使いこなすためのポイントをシェアしていきたいと思います(*’▽’)
そもそもパースって何?
実は私も辞書のようにちゃんと説明しろと言われたらできないんですが、私なりの言葉で表すと、
- 近くのものはより大きく・遠くのものはより小さく写る
- 上の効果に伴い、肉眼で見るよりも角度が付く
というイメージ。そして、これらの効果を活かすことで
- 大きな被写体の存在感・インパクトを1枚に表現する
- 奥行きを演出する
といった表現ができるというわけです。
パース効果が強いと、かなり急な角度が付いたように写るので、使いこなしが難しいと思われがちなんですが、2つのポイントを押さえれば全然難しくないんです(*’▽’)
そのポイントのひとつめが、水平・垂直を意識すること。
超広角レンズで撮った写真がパッとしないと感じられてしまう理由はいくつかあるんですが、パースがしっかりと映えていないこともひとつだと思っていて。
先ほど述べたようにパースによって急な角度が付いたように写るんですが、どこかが真っ直ぐでないとただ写真全体がごちゃごちゃと傾きまくっている1枚になってしまいがち。
なので、私はパースを活かしたい場面において水平・垂直な部分を必ず作るようにしています。
ここで『必ず』と強調したのは、パースを活かす場面の中でも、特に被写体の存在感を強調したい場面では、これといった水平線がないことも少なくないからです。上の作例もそのひとつですね。
私自身超広角レンズを手にして間もない頃は、ただ超広角レンズで煽る(下から被写体を見上げる)ようにして撮ることしか頭になかったんですが、真っ直ぐな部分があって初めてパースが映えるんです。ここテストに出ますよ。
どんな場面でも自分の中で『ここは真っ直ぐに写っている』と感じられるポイントを意識することで、超広角レンズをしっかりと使いこなせる1枚が撮れるように感じています(*’▽’)
4.奥行きの演出は『収束点の位置』がカギ!
私がまだ超広角レンズを持っていなかった頃『超広角っぽいなーこんなの撮りたいなー』と思っていた写真が、パースを活かして奥行きを演出した写真。
私がここで言う『奥行き』とは、写真のこの先に何かが続いていそう・景色が広がっていそうな感じとか、写真の奥に吸い込まれそうな感覚というイメージ。
標準レンズではなかなかこの奥行き感って演出できないんですが、超広角レンズだととっても簡単。その理由はパースの特性にあります。
言葉で説明するよりも実際に写真で見た方が分かりやすいと思うんですが、パースは上の写真で矢印で示しているように、必ずどこか一点で収束します。
これをこの記事では『収束点』と呼ぶんですが、この収束点を写真のどこに置くかが奥行きを演出するカギだと思っています。
またまた具体例で見てみましょう。みなさんはこの写真を見て奥行き感って感じられますか?
写真の感じ方は人それぞれだと思うんですが、奥行き感フェチの私としてはあまり奥行き感を感じられません。
その理由は、収束点が画面の端にあるから。
というのも、パースを活かした写真は、矢印で示すようなイメージで目線が吸い寄せられると思うんですが、収束点が画面の端にあると、パース効果で惹きつけた見る人の目線が写真の外に出てしまうように思うんです。
先程述べたように、私がイメージしている『奥行き感』は写真の先にも何か景色が続いているような感じられること。
そのためには、見る人の目線が写真の中にとどめられている必要がある。
このことから超広角レンズで奥行きを演出したいときは、収束点を画面の端に置きすぎないように意識するようにしています。あ!もちろん水平・垂直をしっかりと取るのも忘れずに(*’▽’)
5.前景を入れてみる
最後にシェアするのは、超広角レンズの特徴やここまで述べてきたポイントを全て活かした、この記事の総まとめのようなポイント。それが『前景を取り入れる』ことです。
前景とは文字の通り『前に写す景色』のこと。
これまた文章で述べるよりも写真を見た方が分かりやすいはず。湖が私がまず最初に『撮りたい!』と思ったもの(→主題)で、そこにセットでベンチを写真手前に写しこみました。
そう、このベンチがまさに前景なんです。イメージつきましたか(*’▽’)?
私が考える前景を入れるメリットは、まず写真にストーリー感が生まれること。
以前構図の基礎を紹介した記事で『写したいもの(主題)とセットで副題を添えることで写真がグッと垢抜ける』と述べたんですが、前景はまさに副題そのものです。
また、写真に無駄なスペースが少なくなることも前景を入れるメリットのひとつ。
2つ目のポイントで『無駄なものを写したり、無駄に広く写したりしないようにズームで細かく調整しよう』という話をしましたが、超広角レンズは少しでも無駄な部分があると写真のインパクトや印象がびっくりするほど薄れてしまうんです。
でも前景を意識すると、写真の要素が増えるのでそれだけ余白ができる部分が減る。
超広角レンズの『広い範囲が写る』という特徴を活かしつつ、ただ広く写すのではなくインパクトのある広い写真が叶えられますし、超広角という広いフレームを余すことなく活かすことができるように感じます。
前景を入れるメリットがもうひとつ。それが写真に臨場感を演出できることです。
ここでいう臨場感とは、写真を見ている人がまるでその景色を目の前にしているような感覚を味わえるみたいなイメージ。
遠くにある景色だけを撮るのではなく、撮影者の近くにあるものをセットで写すことによって、撮影者が実際にその写真を撮っているときに見ていた景色に限りなく近い範囲を1枚に収めることができる。
これが前景を入れることで臨場感を演出できる理由だと感じています。
先程『前景を入れることで、超広角という広いフレームを余すことなく活かすことができる』と述べましたが、前景を入れることで超広角レンズのもうひとつの特徴であるパースもバッチリ活かすことができるんです。
おさらいすると、パース効果は近くにあるものがより大きく写り、遠くにあるものがより小さく写るという効果でしたよね。
つまり前景は大きく写り、主題が小さく写る。え?それって微妙じゃない?と思われるかもなんですが、そんなことないんです。
さっきパースの収束点の話で、『収束点に向かって目線が吸い込まれていく』という話をしましたよね。
それを踏まえて上の写真を見ていただくと分かりやすいかと思うんですが、パースを活かすことで主題に視線を惹き寄せることができるんです。だから主題が小さく写ることはデメリットでは全くないんですね。
まとめると、前景を入れることで写真にストーリーも臨場感も奥行きもインパクトも与えられる。すごいぞ前景(*’▽’)!
『前景を入れるなんて難しそう…』と思われた方もいらっしゃるかもしれないんですが、これといった前景を探さなくても、手前にあるものを少し広めに写してあげるだけでもOK。
上の作例も、最初は青枠で囲っている部分だけ写そうと思っていたんですが、あえて前景として広めに写したことで、ちょっと垢抜けた1枚になったように思います。
『前景を入れよう』と意識することで、自然と超広角レンズのフレーム内に余計なものを写し込まなくなりますし、『写すものを明確にする』ことにも繋がるのですごくおすすめ。
超広角の特徴をどちらも活かせるという点において、この『前景を入れる』というポイントを押さえることができたら超広角の使いこなしはバッチリだと個人的には思っています。
おわりに
この記事を通じて『超広角レンズって難しくない!』と思ってもらえれば本当に嬉しいです。
いつも以上に作例に構図のポイントをしっかり書き込んでみたので、そのあたりも何か少しでもヒントになれば幸いです(*’▽’)
最後まで読んでいただきありがとうございました!