年々短くなる秋、どんどん遅くなる紅葉。
一番好きな季節が秋なので、どうにかして秋の風景を少しでも早く、そして長く楽しみたい私。今年は関東より秋が早く来る地域へ自分から秋を迎えにいこうかなと考えていたところ、駅でこんなポスターを見かけました。
秋は短し旅せよ岩手。
ちょうど「行くなら東北かな」と考えていた私のハートはこの広告に見事に射止められ、宮城と岩手に2泊3日で秋を迎えに行ってきました。人生初東北!
【旅行記】秋は短し旅せよ岩手(と宮城)
1日目
東北新幹線で仙台へ
今回の旅は東京駅を出る前から始まります。そう、朝ご飯になる駅弁選びです。
前から気になっていた仙台・伯養軒の炙りえんがわ押し寿司は即決で、もうひとつは悩みに悩んだ末、食べたことがなかった王道「牛肉どまん中」にしました。どちらも噂に違わぬ美味しさで、仙台到着前から「いい旅だったな…」というテンションになっていました。
仙台で牛タンを食べる!
東京駅から1時間半、あっという間に仙台に到着。「到着しました」の流れで駅や空港の写真が来ないのがゆるカメライフクオリティー。仙台到着早々ホテルに荷物を預けて向かったのが「旨味太助」という牛タンのお店です。
11:30開店のところ、私たちの到着が11:10。既に2組待っていたのですが、10分後には列がかなり伸びていました。平日でこの開店待ち列となると期待が高まります。
ということで、ついに本場の牛タンとご対面。職人さんらしい雰囲気のおじさんが黙々とタンを焼く様子が見られるライブ感満載なカウンター席でいただきます。
厚みがあるのに柔らかくてジューシーで、シンプルな塩味なんだけど奥深さを感じる味付け。間違いなく今まで食べた牛タンで一番美味しい。テールスープも絶品でした。
秋を迎えに日本三景・松島へ
牛タンを無事お迎えできたので、いよいよメインテーマである秋を迎えに松島へ。お目当ての円通院に到着です。
松島へは仙石線という路線に乗るのですが「せんごくせん」だと思っていたら「せんせきせん」でした。千石撫子さん、あなたのせいです。
入る前から既にチラりと見えていましたが、門をくぐると一面秋色。紅葉越しに太陽の光が注ぐことで視界全体がオレンジに感じるほどです。
庭園に目を向けると、枯山水・青空・紅葉と「日本の秋」の要素全てが揃ったまさに私の見たかった景色が。この時点で旅のメインミッション「秋を迎える」は100%達成したように感じたほどです。
余談ですが、実は円通院には今回2回お邪魔しており、ここまでの写真は2回目に撮ったもの。
最初来たときは曇っていて、それもそれで素敵だったのですが、隣の瑞巌寺の見学を終えた頃から一気に晴れ始めまして。「あの素敵な庭園の晴れバージョンが見たい!」と思い戻ることにしたのでした。判断は正しかったです。
額縁構図好きにはたまらない素敵な小窓も。
階段を上がった先には伊達政宗の嫡孫である伊達光宗を祀る三慧殿があり、中にはバラやクローバー・ハートなど西洋のモチーフが描かれた珍しい厨子が置かれています。このエリアも色付いたらとても綺麗だろうなぁ。
円通院散策後、隣のお店で売っていた日本酒ソフトクリームが美味しかったです。
コーンに巻かれた紙がドウデュースの勝負服(正確にはキーファーズの勝負服)そっくりだったので、これはもうドウデュースが秋古馬三冠達成するってことだろうなと思いました。あと一冠頑張ってね。
観光船に乗って島巡り!
紅葉を楽しんだ後は、観光船で松島の島巡りへ。全長約17kmのコースを周遊し、海岸からは見られない松島湾内で有名な島々を見られる約50分の船旅です。
当初14:00の便で考えていたものの、円通院に長く滞在したため15:00に。夕陽に照らされる島々がとても素敵だったので、結果的にこの時間になってよかったなと思いながら、船に揺られます。
こちらが最も有名な仁王島。仁王像に似ていることが名前の由来なのだそう。
仁王像についてはなかなかピンと来なかったのですが、ここまで色んな変わった島々を見てきた目にも明らかに異色に映る存在感があり、松島のシンボル的存在になるのも納得だなと思いました。
この旅のもう一つのメインテーマ・せり鍋
島巡りを終え、仙台へ。駅に戻る前に立ち寄った観瀾亭からの眺めがとても素敵で、松島観光の締めくくりにとてもよかったです。
さて、話は変わりますが、皆さん「せり鍋」ってご存じでしょうか?私は昨年初めて知りました。
仙台の冬の味覚であることも初耳だったのですが、もっと驚いたのが「せりは根っこが美味い」という新事実。気になりすぎてすぐ都内でお店を探して食べに行って、その美味しさに感動しまして。今回正直紅葉と同じレベルでせり鍋を楽しみにしていたのでした。
ということで、今年初せり鍋とのご対面。今回行ったのは「蔵の荘 総本店」というお店です。
記事を書きながら「あ〜〜根っこ食べたい〜〜」と思うくらい、本当に美味しい。せりの香りが移ったスープを使ったシメの蕎麦も最高でした。予約の取れなかった他のお店も気になるし、せり鍋のために仙台再訪してもいいと思えるレベル。
牛タンに紅葉にせり鍋に…と、もう今日で旅行終わりと言われても怒らないくらい満たされた1日目でした。
2日目
輪王寺で朝から紅葉を愛でる
岩手に移動する前にもう少しだけ仙台で紅葉を楽しむことに。向かったのは輪王寺です。
当初行く予定はなかったのですが、ホテルのラウンジにあった観光雑誌で見かけ、時間も余裕があったのでカーシェアで急遽行くことに決めたスポットです。
庭園に入ってすぐのところには立派な木がずらり。この日もお天気がよくて紅葉が本当に映えます。
橋と紅葉、最高に絵になる組み合わせです。色付きと光の当たり方がよすぎて、レタッチ時に彩度を下げた方がいいか悩んだくらい一面真っ赤。
朝早かったこともあって人もそれほど多くなく、ゆっくり紅葉を楽しめました。
盛岡冷麺を食す!
仙台から新幹線で38分で盛岡に到着。
さて、盛岡といえば何と言っても盛岡冷麺。ちょうどお昼前だったので、お腹から盛岡気分に染まっていくことに。向かったのは一番の有名店「盛楼閣」です。11時開店にもかかわらず、11:10時点で長蛇の列。待ち時間は40分くらいでした。
ということで、人生初の盛岡冷麺です。
盛岡冷麺の特徴は①コシのある太い麺②牛骨や鶏ガラでとったスープ③キャベツと大根の酸味と辛味の効いたキムチなのだそう。私はあまり酸味の効いたキムチが好きではないのですが、このキムチはめちゃくちゃ美味しくて。
麺についても「ゴム食べてるみたい」と言う人がいるのも分かるくらい想像以上の歯応えに最初は驚いたのですが、噛めば噛むほど甘みを感じ、それが辛さとあわさって美味しかったです。
前から気になっていた南昌荘
お腹が満たされたところで、カーシェアで南昌荘へ。
実はこの場所、岩手行きが頭に浮かぶ前から少し気になっていた場所でして。額縁構図や床もみじなど、私の好きな要素が詰まった写真をSNSで見ていたのです。
重厚感のある木枠のガラス窓越しに見る紅葉。私が大好きな雰囲気です。
順路に沿ってお庭に出てぐるっと散策し、建物の反対側へ。
池・紅葉・松・橋・東家…と、写真で切り取るとごちゃごちゃして見えてしまうくらい、素敵アイテムがてんこもりのお庭です。
庭園から建物の内部へ。こちらが前から気になっていた床もみじです。
肉眼で見るとめちゃくちゃ綺麗だったのですが、日の当たり方なのか思うような色にレタッチでも持っていくことができず、写真的には不完全燃焼な結果に。うーーーん悔しい。
この角度からだとかなりいい感じに写ってくれました。
庭園を眺めながらゆっくり過ごせるソファ席も。紅葉のピーク時以外はカフェとしても使われており、お抹茶などをいただくこともできるそうです。
腕が足りず上手く撮れなかったのは本当に心残りなのですが、写真で見る以上に素敵な場所。近くに住んでいたら春先・新緑・紅葉・雪…と四季それぞれで訪れてみたいなと思いました。
紅葉が赤すぎた旧南部氏別邸庭園
次に訪れたのは旧南部氏別邸庭園。こちら盛岡市中央公民館の敷地だそうで、私の知っている公民館の規模との違いに驚きを隠せませんでした。
今回の旅はもちろん、人生で見た全ての紅葉の中で一番真っ赤。大袈裟ではなく本当に「赤すぎて怖い」という謎の感情を抱いたレベルでした。気候の差なんでしょうかね。
一ノ倉邸
南昌荘の他にもノスタルジックな建物を見学してみたくなり、一ノ倉邸にも立ち寄ることに。
明治後期に盛岡市出身の政治家・阿部浩によって造られた、由緒と歴史のある建物と庭園なのだそうです。
建物までの入り口もとっても素敵。さっきのような真っ赤な紅葉もいいですが、オレンジと赤が混じった炎みたいな色付きもまたいいですよね。
建物の中には素敵な調度品がたくさん。昔の建物特有の、フローリングとはまた違う底冷えの感覚がどこか懐かしかったです。
暗くなり始めていたこともあってカメラで撮らなかったのですが、この後岩手銀行赤レンガ館や岩手山が眺められる橋といった王道スポットも巡って、再び盛岡駅へ。紅葉を浴びに浴びて、もうお腹いっぱい大満足でホテルに戻りました。
俺たちの盛岡冷麺は終わらない
さて、紅葉をお腹いっぱい味わったところで、今度は肉と冷麺でお腹いっぱいになっていきましょう。
訪れたのは盛楼閣と並ぶ盛岡冷麺の人気店・ぴょんぴょん舎。「ご当地グルメは必ず複数店で食べ比べろ」が我が家の家訓なので、この日は昼夜両方冷麺+焼肉です。
写真は「いわて短角牛」という地元の赤身肉。硬さは感じず、でも噛めば噛むほど肉肉しい濃い味が出てきて美味しかったです。
で、こちらがぴょんぴょん舎の盛岡冷麺。
盛楼閣と比較すると麺は細め、キムチの酸味も控えめで全体的に優しいお味。どちらも美味しくて甲乙付け難いのですが、強いて言うなら個人的にはパンチのある味に惹かれてしまうので盛楼閣に一票です。
3日目
人生で一度は行っておきたかった平泉へ
盛岡から東北本線で1時間20分。最終日は、人生で一度は行っておきたいなと思っていた世界遺産・平泉にやってきました。
駅からは「るんるん」という巡回バスが30分間隔で走っており、それで中尊寺まで行くことができるのですが、バス停から金色堂までかなり急な坂があるため、体力温存すべくタクシーで一番上まで送ってもらうことにしました。
タクシーがあまり捕まらないので、後ろに並んでいたご夫婦と相乗りして、いざ出発。
ということで中尊寺金色堂に到着。写っている建物は覆堂と呼ばれるもので、この中に金色堂が収められています。なお、中は撮影禁止です。
日本史の教科書の写真で見た印象は「ギンギラギンで派手」だったのですが、目の前にしてみると不思議なことに派手さをあまり感じず。装飾がとにかく繊細で、今年で建立900年とはにわかに信じがたい、品と威厳のある輝きを放っていました。
本堂および金色堂以外にも10以上のお堂が点在している中尊寺。入り口方面に向かいつつ、ひとつひとつ散策していきます。
贅沢なことに紅葉を見過ぎて感覚が麻痺し始めていたのと、看板などの説明を読むのに夢中になっていたことから写真少なめ。弁財天堂の周辺に広がる散り紅葉がとても綺麗でした。
月見坂を下り、駐車場エリアにある蕎麦屋さんでサクッとお昼を食べ、タクシーで最後の目的地・毛越寺へ。
「もうおつじ」だと思っていたら正しくは「もうつうじ」でした。結構いい線行っていたようで、タクシーの運転手さん曰く「『もうおつじ』がズーズー弁(東北訛り)で『もうつうじ』になった」そうです。
空が曇り始めていたのもあり写真を撮り忘れてしまったのですが、毛越寺には「浄土庭園」という仏堂と苑池が一体として配された庭園があります。
また、庭園内には松尾芭蕉の有名な句「夏草や 兵どもが 夢の跡」の石碑も。1周30〜40分くらいかかるくらいの広い敷地には、当時はものすごく立派だったんだろうなと想像できる大きな遺構がいくつもあり、芭蕉が「夢の跡」と詠んだ気持ちが少し分かるような気がしたり。
柄にもなく奥州藤原氏や松尾芭蕉がいた頃を想像してしまう、少し不思議な雰囲気を感じながら町をぐるりと散策し、平泉駅から新幹線停車駅である一関駅に移動し、新幹線で東京に戻りました。
おわりに
「秋を迎えに行こう」から始まり、「秋は短し旅せよ岩手」に背中を押されて決まった今回の2泊3日宮城・岩手旅。お天気にも色付きにも本当に恵まれ、120%秋を満喫できました。お腹も心も写真欲も大満足です。
東北新幹線がめちゃくちゃ快適だったので、また別の東北の県にも行ってみたいなと思いました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!