ノイズがたくさん出るから上げ過ぎない方がいいとよく言われるISO感度。そうは言われても『上げすぎ』って具体的にどれくらい?ってなりますよね。私はなりました。
というわけで、今回はノイズを気にせず使えるISO感度について一眼4台を使って比較しながら目安・許容範囲を考えていきたいと思います。
ISO感度はどこまで上げていいのか?許容範囲を探ってみる
はじめに:『ISO感度の上限』と『実用範囲』は別
今この記事を読んでくださっている方のほとんどは、ISO感度については既にご存知だと思うので、細かい説明は省略します。上げると暗いところで明るく撮れるけど、上げすぎるとノイズで画質が劣化するやつですね。
カメラにはそれぞれISO感度の上限がありますが、めいっぱい上げるとノイズがとんでもないことになってしまいます。
多くの人にとって『綺麗な写真』とは、ノイズが極力少なくディテールができる限り失われていない繊細な写真のはず。つまり、カメラが数値的に上げられる限界と、綺麗な写真を撮るために使えるISO感度の上限はまったくの別物と言えます。
今回はその『実用的なISO感度の許容範囲』を色々比較しながら考えていきますよーう(*’▽’)
今回比較に使う4台のカメラを紹介
OLYMPUS PEN Lite E-PL6
『これを首から提げると宮崎あおいになれる』と言われている、オリンパスのミラーレス。私がはじめて手にしたカメラで、2013年発売のOLYMPUS PEN Lite E-PL6です。
センサーサイズはマイクロフォーサーズで、感度上限は標準で1600・拡張で25600。今回使用する4台の中で高感度性能は最も控えめです。
Nikon D5500
『これを首から提げると小栗旬になれる』と言われているNikon D5500。
2015年に発売されたAPS-Cの一眼レフで、常用感度の上限は25600が上限です。
Nikon D7000
『これを首から提げるとキムタクになれる』と言われているNikon D7000。同じくAPS-Cの一眼レフです。ちなみに『首から提げると〜』の人名は、それぞれのCMキャラクターのことです。
こちらは知人からお借りしました。標準感度上限で6400・拡張上限が25600です。
Nikon D750
『これを首から提げるとゆるふわカメラ女子になれる』と言われている、私の愛するNikon D750。2014年に発売されたフルサイズ一眼で、標準上限が12800、拡張上限が51200。
フルサイズということで、この4台の中で最も高感度性能の高いカメラです。
今回の実験方法
今回は実験するシチュエーションは、夜景撮影。神戸の夜景という定番デートスポットで黙々と実験してきました。
撮影モードは絞り優先でF8に固定、シャッタースピードはカメラ任せでISO感度だけを動かす形であれこれ撮り比べてみます。
なお、細かく比較していて少し長いので、お急ぎの方や許容範囲のラインだけ知りたいという方はこちらから結論までジャンプしちゃってください(*’▽’)
ISO800
OLYMPUS PEN Lite E-PL6
まずは私が暗所で撮る時に最初に試すことが多いISO800からスタート。
他のカメラに比べて画素数が低いので、トリミングの仕方がちょっと意地悪なのですが、ノイズの気配は既に感じられます。とはいえ、スマホで見る分には問題なさそうです。
D5500
目立ったノイズは感じられず、私のお肌のようにツルツルです(*’▽’)
PCで見るとこれでも結構ノイズが出ているように感じるのですが、ブログ用に画像を圧縮しているので、大目に見てください。
D7000
D5500に比べると、ちょっとザラザラ感がありますが、まあ許容範囲でしょう。
D750
フルサイズにとってはISO800なんて朝飯前ですかね。
ISO1600
OLYMPUS PEN Lite E-PL6
E-PL6の標準感度の上限ですが、ディテール部分がかなり潰れているのがお分かりいただけるでしょうか。ISO800の時に比べて一気に『画質が悪くなった』と感じられます。
ISO800ではそこまでノイズが目立たなかったD5500も、ここにきてうっすらノイズが。
…とはいっても細かい描写は健在なので、スマホで見る分にはノイズ除去は不要なレベルでしょう。まだまだ実用の範囲内です。
D7000
こちらはかなりノイズらしいノイズが出てきました。人によってはかなり気になると思います。
D750
こちらはまだまだ大丈夫そう。さすがフルサイズという感じですね(*’▽’)
ISO3200
E-PL6
ちょっと気持ち絞って夜景を撮りたい場合、ISO3200まで上げることもあるでしょう…と言いたいところですが、うーーーーんこれは厳しい。
まだ上限までいってませんが、個人的にはこれ以上は見るに耐えないので、E-PL6はここでリタイアしてもらいました。
D5500
こちらも順調にノイズが目立ってきました。とはいえエントリー機なのにものすごい健闘。
多少ディテールを犠牲にしそうですが、ノイズ除去で対応はできそうかなと感じます。
D7000
ISO1600の時点で限りなく赤に近い黄信号でしたが、ISO3200ではほぼ完全に赤信号ですね。
D750
ISO1600ではツルツルだったD750にも、ここにきて少しノイズの気配が。目が肥えているフルサイズユーザーにとっては少し黄信号かもしれません。
ISO6400
D5500
ガンガン上げて今度はISO6400。さすがのD5500も悲鳴を上げ始めています。
ノイズ除去で処理はできそうですが、かなりディテールが犠牲になったのっぺりとした一枚になりそう。スマホで見る分にもノイズを感じられるんじゃないかなと思います。
D7000
D7000の標準感度の上限に達しました。かなりノイズが酷いのでD7000もここでリタイア。
D7000とD5500は発売日に5年の差があるのですが、同じAPS-Cの同じメーカーの一眼レフでも5年違うだけでこんなに高感度性能が違うことにびっくりしました。技術の進歩のすごさを感じます。
D750
上2つのAPS-C機に比べると、さすがフルサイズとしか言いようがないD750。
ただ、かなりディテールが犠牲になっており、ここまで来るとRAW現像で綺麗に編集できる範囲もだいぶ狭くなりそうです。
ISO12800
D5500
D5500の標準感度の上限。
見ての通りザラザラですが、エントリー一眼レフということを考えるとものすごく健闘したと思います。すごいよD5500。
D750
突然ポートタワーのライティングが変わりましたが、お気になさらず。
さすがのD750もここまでくると流石にノイズが目立ってきました。といっても12800ですからね、1280じゃないからね。
ISO25600-51200
D5500 × ISO25600
D5500がノイズ耐性が思ったよりも優秀だったので、ちょっと欲張って拡張上限であるISO25600まで上げてみました。
D5500を手にして1年以上経つんですが、こんな高感度初めて使いました。ノイズ云々はともかく、ここまで上げれることに拍手を送りたいですね(*’▽’)
D750 × ISO51200
こちらも未知の世界で一度使ってみたかった、D750の拡張での上限ISO51200。
F8で夜景を1/160秒で撮れる時代、ヤバすぎる…。
ISO感度の実用範囲は?
同じ写真ばかりでちょっと疲れましたね。お付き合いいただきありがとうございます。
さて、私は綺麗な写真を撮るために使えるISO感度上限には、『ノイズ除去しなくても耐えられるライン』と『ノイズ除去すれば耐えられるライン』の2種類あると考えていて。それを踏まえると、あくまで私基準ではこうなりました。
- ノイズ除去なし:ISO800
- ノイズ除去前提:ISO1600
- ノイズ除去なし:ISO1600
- ノイズ除去前提:ISO3200
- ノイズ除去なし:ISO1600
- ノイズ除去前提:ノイズ除去前提:ISO3200・ISO4000でもなんとか
おまけ:ノイズ除去って実際どれくらい使えるの?
さっきからノイズ除去という単語が何度も出てきていますが、使ったことがない方にとってはノイズ除去が実際どれくらい使えるのかということは気になると思います。
というわけで、絶賛ノイズ発生中の上の1枚をLightroomで実際に処理してみましょう。
真ん中の白いバーを左右に動かして見比べてみてください。左が絶賛ノイズ発生中の写真、右がノイズ除去を行った写真です。
スマホなどの小さな画面だと少し見づらいかもしれないんですが、空のあたりのノイズが綺麗に除去されています。
なお、上の比較写真では分かりやすいように左がISO100で最初からノイズがほとんどないもの、そして右がノイズ除去でノイズを除去した写真を比べてみました。
すごく便利なんですが、ノイズ除去は考えて使わないとせっかくの高画質な写真が台無しになってしまう。私が『ノイズ除去をするのであってもISO3200以上にはしたくない』という結論を出したのはこれが理由だったんですね。
まとめ:自分のカメラで試してみよう!
今回あれこれ試してたり考えたりしましたが、ノイズの出方はカメラによって異なりますし、『これくらいなら気にならない』といったようなノイズの感じ方も個人差があります。
また、撮るシチュエーションによってもノイズが目立つ場面・いつもより高感度に設定しているのにノイズが目立たない場面なんかもあったりします。
自分が『綺麗!』と思える写真を撮るために、一度自分のカメラでいろんな感度で撮ってみて、どれくらいまでならノイズが気にならないかを試してみるのがおすすめ。
『カメラのISO上限』とはまた別の『自分の中でのISO上限・許容範囲』が分かると、設定を決めたり写真を撮るのがグッと楽になりますし、もっともっといい写真が撮れるようになりますよ(*’▽’)
おわりに
いつもどこでも三脚が使えるわけではありませんし、ISO感度はそんな時に私たちを助けてくれる欠かせない存在。メリットもデメリットもしっかり知った上で、上手に使いましょう。
一部分かりにくい部分もあったり、画素数等無視して適当にトリミングしたりと色々ツッコミどころもあったと思うのですが、なんとなくでも参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!