突然ですが、愛でてますか?超広角。
私は三度の飯の次くらいに超広角が好きなのですが、NikonからSONY移行後Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS(SEL1635Z)を使っています。
実はこちらのレンズ、Nikonユーザーの頃からちょくちょくお世話になっていまして。というのも、夫がα7Ⅱで使っていたのです。α7Ⅱに関しては色々思うことがあったのですが、16-35mm F4に関しては『優等生みたいなレンズだな』と感じていました。
前置きが長くなってしまいましたが、今回は作例を交えてこのレンズの使用感をまとめたいと思います。
SONY Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS
ダイナミックな世界が楽しめる16mm始まり
一般的に35mm以下が広角レンズ・24mm以下が超広角レンズと呼ばれることが多いのですが、私の個人的な肌感覚では超広角レンズ=20mm以下だと考えていまして。
Nikon時代20mm単焦点を愛でていたこともあり、事あるごとに『20mmはいいぞ』と熱弁してきたのですが、その理由は『肉眼で見たまま・感じたままの広さ』を写し取れる広さだから。
つまり、20mm以下になると肉眼よりも広い世界が写るので、誰が手にしても『超広い』と感じられるという意味で『超広角=20mm以下』と考えているわけです。
超広角の世界は1mmの差がとても大きいので、20mmよりも4mmも短い16mmの世界はかなりダイナミック。
私自身何度使ってもファインダーを覗くたびに驚かされます。狭い室内を広々と見せられるのも超広角ならではです。
でもそこまで広いと使いこなしが難しそうと思われるかもしれないのですが、超広角ってかなりの便利レンズで。
もう少し引いて撮りたいけれど、室内や人が多い場所など自分自身が下がることが出来ない場面がたまにありますが、超広角があると、動かなくても目線の位置を手前に引くことができるので、室内写真や記念写真でもすごく便利だったりします。
テーブルいっぱいに並べられた料理も、椅子に座ったままこんな感じで撮れちゃいます。
四隅まで精細に写し取る描写力と解像感
私が超広角レンズを検討するときに特に重視するポイントが2つありまして。そのひとつが、四隅の流れです。
ざっくり説明すると、レンズの歪みを利用して人間の視野以上の範囲を写し取っているので、写真の周辺(四隅)にある被写体がボケたりブレたりしているように写ってしまうことがあります。
超広角レンズである程度は仕方ないことなのですが、これをどう抑えているかにレンズのクオリティが現れると個人的には考えているわけです。
というわけで、ひとつ前の写真の右上を拡大して見てみましょう。室内で暗めだったのでF4開放で撮影しています。
ISO2000で撮影したのでノイズが汚いのは大目に見ていただくとして、画面四隅にある本の1冊1冊がクッキリと写し取られているのが分かります。『開放は少し流れるけど絞ると解消される』という超広角は結構多いんですが、開放からこの写りは文句なしと言って良いと個人的には思います。
せっかくなのでF8まで絞ったものも見ておきましょう。こちらはF8 ISO640で撮影したものです。
右上を拡大するとこんな感じ。キリリと描かれていますね。
四隅でこれなので画面中央および全体は言うまでもありません。ちなみに解像感については『肉眼で見るクリアさを忠実に再現する』といった感じ。カリッカリがお好みな方は他のレンズと作例をしっかり比較した方がいいかなと思います。
T*コーティングの効果・逆光耐性は?
超広角選びで重視するポイント2つ目は逆光耐性。太陽を入れる構図が好きなので、新しいレンズを探すときはひたすら逆光で撮られた作例を漁っています。
さて、このレンズは『T*(ティースター)コーティング』が採用されていて、反射を抑えた高コントラストな描写性能も発揮し、本格的な風景撮影が可能とのこと。
逆光に強いというレビューも多く見かけたのですが、個人的には『悪くはない、でも強くもない』といったところ。フレアは比較的抑えられている印象ですがゴーストは正直気になることが少なくないです。
とはいえ、世にあるレンズの中では逆光には強い部類に入るのは確かだと思います。上の作例のような、太陽にレンズ向ける意地悪な撮り方をしなければ問題なさそうです。
“35mm終わり”が最高に使いやすい
タイトルに『優等生レンズ』と書いた最大の理由は、この35mm終わりにあると思っていまして。
35mmという画角について、一般的に「標準」と言われる50mmと比較して、このブログではよく次のように述べています。
- 35mm:見たままの範囲が写せる
- 50mm:見えている範囲のうち、注視している部分が写せる
つまり、視野がそのまま写るので35mmは記念撮影やスナップに最適。
24mm・28mm終わりだと『何気ない1枚』を撮るには画角が広すぎてレンズ交換が必要になることもしばしばなのですが、35mm終わりだと広大な風景から見たままの世界まで対応ができる。これは本当に大きなメリットです。
35mm端だと描写が甘くなるというレビューもちらほら見かけたのですが、個人的には特に気になったことはありません。
16mmと同じくらい35mmでも撮る予定のある方は、色々な作例を見て慎重に検討したほうがいいかもしれませんが、主に超広角レンズとして使うつもりという方はそこまで気にしなくてもいいと思います。
F4通しって不便じゃない?
このレンズを検討されている方の大半が一度は『F4かぁ…』と思われたことがあると思います。私もその一人です。
私は手持ちで夜景を撮る機会が多いのですが、F2.8通しを使っていた頃は上げてもISO2500くらいだったのが、F4だとISO3200はすぐ超えてしまいます。お世辞にも決して明るいレンズとはいえません。
なお、このレンズは手ブレ補正付きですが、あくまで『手ブレギリギリをセーフにしてくれる』もの。F4で手持ち夜景を撮ろうとするとすぐ手ブレボーダーギリギリになってしまうので、こちらはお守り程度に考えておく方がいいですね。
じゃあ『やっぱりF2.8通しに買い替えといたらよかったかな』と思っているかと聞かれるとそうではなくて。SONY移行の際に買い替えも検討はしたのですが、今の私にはこのレンズで大丈夫だなと結論付けました。理由は2つあります。
16-35mm F2.8があまり現実的ではない
まず、同じ16-35mmでもF4とF2.8では値段が倍近く違います。
重さに関しては、F4は金属製なので518gとそこまで軽い部類ではありませんが、F2.8は680g。正直F2.8通しの超広角ズームでこれはかなり軽いものの、約160gくらい重くなります。
個人的にはレンズの重さが「ボディの重量-100g」を超えると、重心がレンズ側に傾いて首への負担がキツくなると感じていて。その基準で見るとα7Ⅲは付属品込みで650gなので、F2.8は完全にオーバー。値段的にも重さ的にも、F2.8は『現実的に使いこなせるレンズ』とは言い難いのが正直なところです。
重いけど明るいズーム1本か、軽いズーム+軽い単焦点の2本どちらが楽か
NikonでF2.8通しを使い続けてきて『F2.8が必要なとき、本当はF2.8じゃ足りないよな』と思うことが多くて。ちょっと日本語おかしいんですが、頭の中の考えをそのまま文字に起こすとこうなっちゃうので許してヒヤシンス。
手持ち夜景撮影で『これは完全に開放案件だな』と思う時って、設定はかなりギリギリ。そういう場面において、ズームの便利さを優先して全域F2.8で頑張るより、設定の自由度を優先してF1.8の単焦点を使う方が撮りやすいと感じることが度々あったんです。
かなり前の話ですが、人生初の単焦点選びの時『ズームできないなんて使いこなせるのだろうか…』と色々調べていると『中途半端なズームより明るい単焦点1本の方が撮り回しがよかったりする』というコメントを見かけて。
当時は『そんなわけなかろう』と思っていたのですが、今ならその意味が分かります。設定はカメラのスペック以上には出来ませんが、構図は工夫次第で色々変えられるということだったんですね。
誤解してほしくないのが、F2.8通しが『中途半端』という訳では断じてありません。どう考えたって究極のズームレンズですし、本当に便利。重さと予算がクリアできているならF2.8通しを選ぶのが間違いないです。
ただ、重さがネックになっている場合、『中途半端に単焦点レンズを買い足す方が煩わしい・1本にまとめた方がラクな人』もいれば、『重いF2.8通しを常に使うより、軽い超広角ズームと明るい単焦点を使い分けた方が楽』という人もいるはず。
昔は確実に前者だったのですが、今の私は『持ち歩く機材の総重量』以上に『首から提げる機材の重さ』を軽くしたいという気持ちが強いので、改めて考えてもF4通しの方が自分に合っているなという結論に至りました。
今は機材移行でお財布が空っぽなのでもう少し先にはなりますが、20mmか24mm単焦点を買うつもりでして。20mm F1.8は描写・重さ(373g)共によさげでかなり気になってます。やっぱり私といえば20mmですし。
まとめると、F4通しが不便かどうかと聞かれたら『明るさが必要になったときに追加で単焦点を持ち歩くのに抵抗がないので不便とは感じない』というのが私の答えです。
手持ちでの夜間撮影機会が少ない方であれば、F4通しのデメリットは特にないので後はポチるだけです(*’▽’)
まとめ
超広角の面白さを存分に感じられる16mm始まり、スナップまで対応できる35mm終わり、見たままを忠実に描ききる描写力。気軽に持ち出せるサイズ感と、購入候補に入れられる価格帯。どこを見ても隙がない1本なので、『優等生レンズ』というタイトルにしました。
機材が軽くなりフットワークも軽くなったので、広い世界を写せるこのレンズとこれからさらに撮れる写真の幅を広げていきたいと思います(*’▽’)
最後まで読んでいただきありがとうございました!