写真の印象を決めるポイントはいくつかありますが、特に大切なのがやっぱり構図。
テクニックや定番構図を調べたものの、具体的にどの場面でどの構図を使えばいいのか分からない…と悩んでいる方は少なくないはず。私もその一人で『構図なんて感覚とセンスなんでしょ』なんて思っていました。
そんな感じで写真を撮り続けるうちに、私なりの『構図の考え方の軸』みたいなものが出来上がってきたので紹介してみたいと思います。
構図の『基本の基本』となる9つのポイントを押さえよう!
そもそも構図ってなに?
普段何気なく使っている『構図』という単語。でも『構図ってどんな意味?』と聞かれたらサッと答えられない人もいるのではないでしょうか。はい、私です。
構図とは、写真の中における被写体の配置のこと。
この記事では『何を』『どんな位置・配分・角度で』写すかについてあれこれ書いていくので、この人は普段こんな感じで考えて撮ってるのかーって感じで気楽に読んでもらえればと思います(*’▽’)
①水平・垂直を徹底的に
突然ですが、みなさん全ての写真において水平・垂直をちゃんと意識できてますか?
私は全くできてなくて、当時の写真を見返すと水平・垂直が取れている写真の方が少ないレベルでした。
世の中にはいろんな構図パターンやテクニックがありますが、それらはちゃんとした水平・垂直・左右対称なしには成り立たないと言っても過言ではないんです。
写真を始めて間もない頃の私がどれだけネットで構図の知識を集めてもなかなかいい写真が撮れなかったのは、水平・垂直が適当だったからでした。
中途半端に傾いていたり、左右対称が中途半端だったりすると、見る側に『雑に撮られた写真』という印象を与えがち。ちゃんと水平などが取られていると、丁寧に撮られた印象を見る側に与えるので『良い構図』という印象に変わる。
水平・垂直・左右対称がちゃんとできているだけで、綺麗な構図に見せられることがかなり多いことに気がついて以来、構図を考えるときに真っ先にこのポイントを徹底するようになりました。
『水平を意識すれば構図は上手くいくのか!楽勝じゃん!』と思われるかもしれないんですが、実は奥が深いのが水平・垂直の難しいところ。
というのも、海など水平線がはっきり分かる景色ならいいんですが、上の作例のような街並みなどではどこが水平・垂直なのか分からないことが多いからです。
それなら水平とか考えなくていいんじゃない?となるかもなのですが、角度がちょっと違うだけで写真の印象が大きく変わること。なので、どんな写真であっても必ず水平・垂直の基準となるポイントを決めるようにしています。
なお、さっきの作例では全体のバランスを見て③を基準に垂直を撮りました。
三脚を使って撮影しない場合、シャッターを押しただけで完璧に水平を取るのは難しいですし、後から『こっちを基準に水平取っとけばよかった…』とか『微妙に傾いてるじゃん…』なんてことは日常茶飯事。
多少トリミングすることになるんですが、私はそのあたりは気にしすぎず、撮影後に現像ソフトやアプリでしっかりと水平垂直を調整するようにしています。
スマホ・PCで見る分には、トリミングしても画質の違いは感じられないことがほとんどですし、後から編集するクセが付くと、撮影時にも自然に水平が撮れるようになっていたりしますしね(*’▽’)
②写真を構成する要素を明確にする
なんかいきなり難しいこと言い出したな…と思われたかもしれないんですが、『写真を構成する要素=写真に写すもの(被写体)』のこと。
昔の私の写真を見返してみると、構図云々の話の前に何が撮りたいのかよくわからない写真が本当に多くて。パッと見て心惹かれる1枚は、何が写っているのか明確なものが多いんですよね。
このことから、構図を考えるときはまずその写真でメインにする被写体(主題)を明確にするようにしています。
メインとなる被写体がインパクトのあるものであれば、それだけで十分絵になることもあるんですが、主題だけを写そうとすると『ただ花を撮っただけ』のような味気ないというか垢抜けない1枚になりがち。そんなときは主題を引き立ててくれる脇役(副題)を探してみます。
例えば上の写真だと、スカイツリーという主題に車のテールランプの光跡を副題として絡めてみました。
こちらの写真では、シンデレラ城にその近くにあったミッキーの銅像を副題に。
主題だけを写して先程述べた水平・垂直・左右対称をちゃんとするだけでそれっぽくなることも結構あるので、絶対に副題を見つけなければいけないというわけではありません。
まずは主題を決めて、何か普通の写真だなと感じたら副題を探してみるというのが私のお決まりパターンです。
大切なのはとにかく写したいものをハッキリさせること。
そうでないと、工夫した構図が映えなくなってしまうので、どんな写真でも必ず何をメインに写すのか(主題)・それと一緒に何を写すのか(副題)を明確にするようにしています。
③グリッド線をしっかり基準に
写すものを明確に決めたらいよいよそれらを配置していきましょう。
私が配置を決めるときに意識しているポイントがグリッド線。雑な手書きで恐縮ですが、上の黄色い線のこと。ファインダーや液晶画面に表示できるカメラがほとんどです。
『三分割構図』という単語を聞いたことがある人も多いはず。グリッド線の交点に被写体を置くとそれっぽくなるという定番構図です。
私がグリッド線を意識する理由は、三分割構図で撮るとたいていそれっぽくなるからというのもあるんですが、それよりも被写体を適当に配置しないことが目的です。
かつての私は撮りたいものを見つけたらなんとなく感覚で配置を決めていたんですが、明確に『ここに置く』と意識していない場合どこか締まらない1枚になりがちでした。
なので、写したいものが決まったらまずはグリッド線やその交点を基準に被写体を置いてみる。そこからもう少し左に右に…と調整することで『なんとなく配置する』ことがなくなるんですね。
被写体の配置だけでなく、水平の基準にもなりますし、構図を決めるときには欠かせない存在であるグリッド線。
『何を写すか』を明確にすると同様、『どこに写すか』もしっかり明確にするのがいい写真のカギだと思うので、常にグリッド線を意識して被写体の位置を決めるようにしています(*’▽’)
④被写体の目線の先を空ける
じゃあグリッド線を基準にして具体的にどこに置けばいいの?って話になりますよね。私はほとんどの場面で被写体の目線の先を空けるように配置しています。
例えば上の写真だと、お地蔵さんが見ている方向を空けることで、視線の先に何を見ながら何を考えているのかなぁなんてキャプションが付けられそうな、ちょっと雰囲気のある1枚になっています。
見出しでは『目線』と書きましたが、目が付いていない被写体が大半なので、その場合は被写体の向いている方や進行方向を空けるように配置することが多いです。
真正面から撮ることが多いお花ですが、お花が向いている方を空けて下から撮るとちょっと工夫した1枚に見えますよね(*’▽’)
目線の先や向いている方を空けてあげることで、写真という四角のフレームの中に広がりのようなものが生まれるような気がしませんか?しますよね?するんです。
被写体の配置に悩んだ時は、どの方向に向いているように見えるか考えて、その方を空けてグリッド線の交点を基準に配置することがほとんどです(*’▽’)
⑤余計なものを写さない
水平垂直もバッチリだし、主題・副題も明確。ちゃんとグリッド線を基準に配置してるのになんだかイマイチしっくりこない…。その理由は余計なものが写り込んでしまっているからかもしれません。私の場合ほとんどがそれでした。
余計なものが写り込んでいると主題・副題がわかりにくくなって、ぼやけた印象の1枚になりがち。水平・垂直と並んで、写すものの取捨選択は良い写真を撮る上で本当に大切なポイントです。『写真は引き算』なんて言葉もありますしね。
『余計なもの』かどうかはその場その場の被写体や個人の好みによっても異なりますし、判断が難しいところではあるんですが、私がひとつの判断基準としているのが主題と副題に関係あるものかどうかです。
例えば、上の写真は私がD5500を買って本当に間もない頃に撮った、像がずらっと並ぶ廊下に惹かれてシャッターを切った1枚。
つまり、この写真の主題と副題は像と廊下。
ということは、写真左側に大きく写り込んでる壁っては主題でも副題でもないですよね。本当に写す必要ある?とちょっと考えたくなるんです。
ちょっと雑ですが、トリミングしてみるとこんな感じ。スッキリ印象的な1枚になったと思いませんか?
主題・副題に関係のないものでも、あえてそれを写した方が良い構図になることもありますし、どう工夫しても写り込んでしまう場合もあります。
大切なのは、できる限り多くの部分に対して『これって写すべきかな?』と考えるようにすること。
ちなみに、写真を手にして間もない頃の私は『メインの被写体をどれくらいの大きさで写すか』でどれくらいズームするかを決めていたんですが、ここ最近は余計なものが写らないかどうかでズーム加減を決めることがほとんどです(*’▽’)
⑥何も写っていない空間はできる限り作らない
一つ前の『余計なものを写さない』と関連する話なんですが、この『余計なもの』には『余計な空間』も含まれると考えていて。
上の写真のように大きなデッドスペースがあると、華やかさやインパクトに欠けた1枚になってしまうことが多いので、極力こういった空間・余白を作らないように意識しています。
また、先ほどの明らかなデッドスペースだけでなく、メインの被写体の周りの空間をどれくらい取るかということも、地味に感じられるかもしれませんが大切なこと。
上の写真でも、スカイツリーの上部をどれくらい空けるか、あるいは詰めてしまうかは私としてはしっかりと考えたいポイントです。
少し空間を作ってゆとりを持たせた方が構図がスッキリする場合も多いですし、これもまた時と場合と好みによって答えが変わるんですが、あくまでも何も写っていない空間はできるだけ作らないことを前提に、空けるスペースは必要最低限に留めるようにしています(*’▽’)
⑦空を写すときは『3層構造』を意識してみる
青空に映える街並み、朝焼け・夕焼けに染まる風景など、綺麗な空があるとついついカメラを向けたくなるもの。
カメラを持って間もない頃は、決まって『画面上半分を空・下半分を景色』という感じで写していたんですが、それだと空が広く写りすぎて、主題であるはずの風景や街並みがボヤけてしまい、味気ない1枚になってしまうことが多かったんです。
このことを踏まえて、今では空と風景・街並みをセットで写すときは3層構造を意識することが多いんです。
上の写真では、青空と街並みと船という3つの写真の構成要素を、上から順に3層に配置しています。
こちらの写真では、ススキと山と空を3層に。
3層といっても均等に3等分するのではなく、そこはあくまでも目安。すぐ後に詳しく述べますが、3層目を広めに取ることも多かったりします。
空が広く写り過ぎないことで主題・副題がわかりやすい1枚になりますし、バランスが取れた『それっぽい』1枚になることが多いので、この構図を意識して撮っている写真は非常に多いです。
空を主役にする場合は別なんですが、空と風景・街並みをセットで写すときって、風景や街並みが主役のことがほとんどだと思うので、3層構図で考えて画面の3分の1くらいを空にするくらいがちょうどいいことが多いと感じています。
もちろん2分割構図の方がしっくりくる場面もたくさんあるので、そこは時と場合と好みなんですが、構図の引き出しのひとつとしてよく用いるポイントのひとつです(*’▽’)
⑧写真の手前・下半分を意識する
見返してみると、どうもフレームの中央や上半分にばかり意識が向きがちだった昔の私の写真。
なんだか頭でっかちになってしまってアンバランスというか、なんかパッとしないなと感じることもしばしばありました。
なので、最近では写真の手前・下半分の方を重視して構図を決めることが多いんです。
下半分や手前を意識することのメリットは、写真に奥行きとインパクトが出ること。
上の写真は先程述べた3層構図で撮ったもの。これはこれでいいんですが、もうひとつインパクトが欲しかったので縦構図にして3層目を広く写してみると…
こんな感じ(*’▽’)広角で写したことによるパース効果もプラスされ、奥行きのある1枚になったと思いますし、私はこっちの方が好みです。
『写真の手前を意識する』の定番といえば前ボケ。
ボカす=背景というイメージが強かったんですが、前ボケを扱えるようになるとちょっとこなれ感が出ますし、奥行きを演出できたり。イルミネーションや花を撮るときには前ボケを作れるポイントを探すことが多いです。
個人的には下半分が広い方が写真の安定感が増すような気がしていて。それだけでなく下半分が写真の印象を決めることも多いように感じています。
写真の上半分ばかり意識しがちな人は下半分を意識、逆に下半分ばかり考えていた人は上半分を意識するようにしてみると構図の印象が結構大きく変わったりしますよ(*’▽’)
⑨自分が良いと思ったら良い構図!
ここまであれこれそれっぽく語ってきましたが、構図を決める上で一番大切にしているのは『自分が良いと思ったら良い構図』だと自信を持つこと。
主題とか副題とかよく分からんけどなんか惹かれるなーとか、あえて水平じゃなくてちょっと傾かせた方がしっくりくるなーとか、そういう自分の感性みたいなものに任せて撮るのってやっぱり楽しいじゃないですか。
そもそも構図の良し悪しの明確な判断基準はありませんし、傾いていても左右対称じゃなくても自分が良い構図だと思えばそれは間違いなく良い構図だと自信を持つ。
写真という趣味を全力で楽しむためにも、あまりガチガチにこだわりすぎずに撮ることも心がけるようにしています(*’▽’)
まとめ:考え方のコツを掴めば構図は全然難しくない!
とにかく早く上手くなりたくて『上手な写真はやっぱり構図!』といろんなサイトやテクニックを仕入れたものの全く上手くならなかった私。
『やっぱり構図はセンスか』と諦めていたんですが、上手な人の写真を見ているうちにセンスのある人・構図が上手な人ほどしっかりと考えて撮っていることに気が付いて。
今思えば当たり前なんですが、当時は『上手い人=直感で構図が閃いちゃう系』だと思ってたんですね。
センスがある人・上手な人が考えて撮っているということは、センスがない私はもっと考えて撮らないといけない。
でも手っ取り早くいい写真を撮りたい私としては、小難しいことを考えて構図を決めるのは正直めんどくさい。
それなら基本的なことを徹底するだけでいいんじゃない?と思い始め、上手な人の写真と比べながら自分の写真を見返した末、できあがった『私なりの軸』が今回紹介した9つのポイントでした。
構図は難しい・構図はセンスだなんて諦めかけていましたが、基本的なことを意識するだけでも構図は案外それっぽくなる。
私自身まだまだ下手ではあるんですが、構図ってそんなに難しくないよ!ということがこの記事で伝えたかったことです。
おわりに
構図の考え方にはいろんなアプローチがあります。どれが正解・間違いなんてこともないので、いろんな構図の考え方を取り入れて『あなただけの構図の軸』を作ってみてください。
この記事がみなさんのカメラライフにとって少しでも何かのヒントになれば幸いです(*’▽’)
最後まで読んでいただきありがとうございました!