写真は本当に奥が深いもの。少し慣れてくると、始めた頃とはまた違ったいろんな疑問が湧いてきます。
写真歴丸1年を迎えた私も、またひとつ新たな疑問を抱えていました。それがRAWとJPEGのレタッチ耐性の差です。
【比較】RAWとJPEG、同じようにレタッチするとどれくらい差が出るのか試してみた
そもそも『RAW』って何?
おそらくこの記事を読んでくださっている方のほとんどはRAW現像について既にご存知だと思うので、ここではRAWが何か・RAW現像とは何かという説明は省略します。
このあたりは『もっと早くにRAW現像始めればよかったな』という後悔の念を込めつつ書いた記事で詳しく解説しているので、よろしければそちらも覗いてみてください。
今回の比較方法
- RAWとJPEGの2通りで保存した同じ写真を用意
- RAWをAdobe Lightroomで現像
- 2と同じような見た目になるよう、JPEGをAdobe Lightroomで編集
今回は上の流れで3枚比較してみます。
なお、RAWで現像したときの設定をJPEGにコピペしても、データ形式の違いから同じような見た目になりません。出来る限りRAWと同じように仕上げられるよう頑張っていますが、完璧には無理だったのでこのあたりは大目に見ていただけると助かります。
【比較①】シャドウを持ち上げてハイライトを落とす
まずは、直近で撮っていたこの写真で試してみましょう。西日が差し込む、シャドウとハイライトの差が大きくてRAW現像必須のシチュエーションです。
上は撮って出しの状態。なんかスッピン披露してるみたいでちょっと恥ずかしいですね。
そしてこれがRAW現像したもの。
ハイライトを下げてより青空を強調したのと、影になっていた部分を軽く持ち上げてみました。
これがJPEGを編集したもの。どうでしょうか。
ブログ用に圧縮しているので分かりにくいと思うんですが、個人的にはこのケースではRAWとJPEGで大きな違いは感じられませんでした。強いて言えば、拡大するとJPEGの方がシャドウ部ノイズが気になるかな?くらいです。次行きましょう。
【比較②】とんでもなく白飛びした写真
さっきは軽い編集だったので、今度は思いっきり失敗写真でいきましょう。
上の写真は、前日に夜景を撮っていたときの設定でシャッターを切ってしまったミスショット。ちなみにこの記事のために撮ったものではなく、たまたま残っていたものです。ラッキー。
というわけで、RAW現像したものがこちら。
Lightroomで露光量を-1.17EV下げたのですが、白飛びがなかったかのように綺麗に仕上がっています。
そしてこちらがJPEGを編集したもの。
そんな変わらな……アレ?写真右上を拡大してみましょう。
上がRAW、下がJPEG。
JPEGでは青空の階調が破綻してしまっていて、何やら不自然な線・模様が出ていますね。
写真左上もこんな感じ。結構汚いですね。
1枚目の比較では『わざわざRAWで撮らなくてもJPEGで良いのかも?』と言えそうだったんですが、この比較では『RAWの方が自由かつ自然に編集できる範囲が広い』ことがハッキリわかる結果になりました。
【比較③】とんでもなく露光不足の写真
さっきの写真は明るすぎたので、今度は暗すぎる写真で試してみます。
ここまで酷い状態は滅多にないと思うのですが、思いっきりシャドウ部を持ち上げたいという場面はよくあるので、『どのくらいのシャドウなら違和感なく補正できるのか』の検証としてやってみましょう。
RAW現像から。露光量を+4.15まで思いっきり引き上げました。
シャドウ部ノイズが気になるのはしょうがないことですが、著しく階調が破綻するということもなく、私の目にはパッと見かなり自然に明るく蘇っているように感じます。
で、JPEGで頑張った結果がこちら。
色と明るさが全然違う!と怒られそうなのですが、JPEGでここまで明るさを変えようとすると写真の色が変わってしまうという。今回実験して初めて知りました。
拡大してみると階調破綻による変な模様も出ていますし、ノイズが酷く明らかに画質が劣化しているのが分かります。
結論:多少ならJPEGをいじっても問題ない?
普通の写真から極端なものまで3つほど例を挙げてみましたが、ちょっとしたお直しくらいであればJPEGをいじってもそこまで違和感はないように感じました。
それなら『RAW現像なんかしなくてもスマホアプリで加工するので十分』と言えるかというと、答えはNO。
実は私自身、PCとか専用ソフトとかめんどくさそうという理由でRAW現像を避けていて、長い間SnapseedというアプリでJPEGを編集していました。
…が、重い腰を上げて始めてみると『もっと早くからRAWで撮っておくべきだった』と後悔して。今回実験してみて改めて『思い通りに写真を編集するならRAW一択』だと確信しました。
というわけで、最後は私が感じるJPEGとRAWの編集時の違いを2つ書き留めたいと思います。
JPEG編集だとWBがいじりにくい
『RAWだとすんなりいくけどJPEGだとなかなか上手くいかない編集ランキング(私調べ)』第一位がホワイトバランスでして。
RAWは光の情報なので、ホワイトバランスはまだ確定していません。つまり、RAWであれば、撮影後にその光の情報を暖色に寄せたり、緑を被らせたり抜いたりなどが自由にできます。
対して、JPEGは色味を変えようにも、写真の中のあらゆる色を全て違和感なく調整できるほどの情報が写真の中に残っていません。
私の言葉であらわすと、RAWは写真の色の軸を変えられる・JPEGは上から色を被せるみたいなイメージ。色味変更するとRAWとJPEGの違いがかなり顕著に感じられます。
JPEG編集だと写真の繊細さが失われる
RAW現像を始めたての頃、これまでJPEGで編集していたものと比べて写真が綺麗になったような感覚があって。なんか画質よくなったかな?みたいな。
今回極端な例で試してみて、JPEGだと階調が破綻してしまうことはハッキリ分かりました。『多少の編集なら目立たない』と感じた写真も、多少はダメージを食らっているはず。
塵も積もれば山となると言いますか、そのわずかな階調破綻がいろんな箇所で起こると、画質は当然劣化してしまう。RAWだとわずかな描写も違和感なく補正できるので、写真の繊細さをバッチリ維持できるというわけです。
まとめ:とりあえずRAWで撮っておきましょう
色々述べてきましたが、『でもやっぱりJPEG編集の方が気軽だし楽しいよ』と思われるのであれば、無理にRAWで撮る必要はないと思っています。写真は自分が一番気軽に楽しめる方法で撮るのが一番です。
ただ、もしかしたらJPEG編集を続けるうちに、編集できる範囲に限界を感じたり、もっとこだわって写真を仕上げたいと思う日が来るかもしれません。
とはいっても、RAWはJPEGになれますがJPEGはRAWにはなれないので、『あの写真もRAWで撮っておけばよかった』と後悔しても時既に遅し。経験者は語る。
そう考えると、やっぱりこれから長く写真を撮っていくのであれば、やっぱり早い段階からRAWで撮っておく方が良いかなと個人的には思います。
おわりに
『興味はあるけど、どれくらい写真が変わるのかイメージできなくて腰が重い…』という方にとって、RAW現像チャレンジのきっかけを作れればと思い、あれこれまとめてみました。
この記事がみなさんのカメラライフにとって、少しでもヒントになれば幸いです(*’▽’)
最後まで読んでいただきありがとうございました!