自分でカメラの設定を決められるようになりたい!と思う方は多いはず。ただなんか『設定=難しそう』というイメージが強かったりしますよね。
私もその一人で、長い間なんとなくの設定で撮り続けてきたんですが、今思うとなんであんなに苦手意識を持っていたのか不思議なくらい、カメラの設定って意外と簡単だったんです。
というわけで!今回は私の設定の考え方を分かりやすくまとめてみたいと思います(*’▽’)
カメラの設定ってどう決めればいいの?私の考え方全部まとめてみる!
『露出』のイメージをつかもう!
カメラの設定を考えるために、必ず理解しておかなければならないのが露出。
なんか難しそうな単語が出てきたなあと思われるかもしれないんですが、露出とは写真の明るさのことで、F値・シャッタースピード・ISO感度という3つの項目によって決まります。
今回は説明しやすいようにこれらを簡単なキャラクターにしてみました。3秒で考えたようなネーミングとキャラデザとかそういうこと言わない。
この御三方は、光の取り込める量に応じて体長が伸びたり縮んだりできるという特技を持っています。早速ひとつずつ紹介してみましょう(*’▽’)
シャッタースピード
まずはキリリとした眉毛がチャームポイントのシャッタースピードくん。
カメラ内部には光を感じ取る部品が入っていて、その部品がどれくらい光に当たるか(露光)によって写真の明るさが変わります。
シャッタースピードを遅くすると、それだけ光を感じ取る部分が長く光に当たるので、取り込める光の量が増える。
逆にシャッタースピードを速くすると、光を感じ取る部品が一瞬しか光に当たらないため、取り込める光の量は少なくなります(*’▽’)
F値
お次はまつげがキュートなF値ちゃん。
写真を趣味にしていなければそう耳にする機会のない単語だと思うんですが、F値とは絞りの開き具合を数値化したもの。
じゃあ絞りって何?ってなりますよね。図を作ってみました(*’▽’)どん!
こんな感じで、F値の大きさを変えると光の通り穴が開いたり閉じたりして、レンズを通る光の量を調節します。
設定をちょっとかじった方なら『F値を小さくすると背景がボケる』と聞いたことがあるかもしれないんですが、F値は背景のボケ具合を調節するだけではないんですね。
カメラにとって光の入り口はレンズ。入り口が広いとカメラ内部の光を感じ取る部品に一度によりたくさんの光を当てることができますよね。
それを踏まえてもう一度F値ちゃんを見てみると、イメージが掴みやすくなるかなと思います(*’▽’)
ISO感度
最後はISO感度くん。
シャッタースピードとF値は『光を感じ取る部品にどれくらいの量の光を当てるか』決める項目でしたが、ISO感度はこの部品の光に対する感度を数値化したもの。つまり、部品そのものを光により敏感にさせると、よりたくさんの光を取り込めるようになるということです。
ただ、ここで注意したいのが、感度を上げすぎるとノイズが発生してしまいます。
ノイズがたくさん発生すると写真がザラザラとした画質の悪い写真になってしまうので、できる限りISO感度は低い方が理想と覚えておいてください(*’▽’)
さて、写真を撮る時その場面によって理想の明るさと、その明るさで撮るために必要な光の量がそれぞれありますよね。ここではそれを明るさバーとして表しています。
この明るさバーをシャッタースピード・F値・ISO感度でどう埋めるかというのがカメラの設定なんです。
そして、上のようにシャッタースピード・F値・ISO感度でぴったり埋められているときは、適切な明るさで撮れている状態。これを適正露出といいます。
上のように明るさバーからはみ出てしまっている場合、写真は明るすぎる状態。
この状態を露出過多といい、適正な明るさにするためには3つのうちのどれかを小さくしてあげる必要があります。
逆に明るさバーに隙間ができてしまった場合は、写真は暗すぎる状態。
これを露出不足といい、適正な明るさにするためには3つのうちどれかを大きくしてあげる必要があるんですね。
ここまでの内容を完結にまとめると
露出(=写真の明るさ)とは、シャッタースピード・F値・ISO感度の3つが相互に関係して決まるもの
というイメージが掴めていればバッチリです(*’▽’)
撮影モードはどうやって選べばいいの?
『カメラ 設定 初心者』などで検索すると、よくおすすめされるのが絞り優先モード。
絞り優先のメリットとして挙げられるのが、背景のボケ具合をコントロールできること。
背景がボケた写真が撮りたくてカメラを買ったという方は多いと思いますし、これが初心者には絞り優先がよくおすすめされる理由だと思います。
『ボケをコントロールできるなんですごい!』となんでもかんでも絞り優先で撮っていたんですが、なぜか失敗写真を量産してしまっていた私。このことが設定についてちゃんと学び直すきっかけでした。
『絞り優先では撮れない場面』がある
F値を撮影者自身で決めて、シャッタースピードをカメラ任せにできる絞り優先モード。
このときカメラは被写体が何であっても、ひたすら『撮影者が決めたF値において、適切な明るさで撮れるシャッタースピードに設定して明るさバーをぴったり埋める』ことに徹しています。
絞り優先で撮っているとF値ばかりに気を取られて、シャッタースピードってあまり意識しないと思うんですが、手ブレや被写体ブレを防ぐためにはシャッタースピードはめちゃくちゃ大事。
つまり、なんでもかんでも絞り優先でシャッタースピードをカメラ任せにしていると、撮りたい場面に合わない・意図しないシャッタースピードになってしまい、ブレブレの失敗写真を量産してしまう可能性があるんです。
絞り優先の弱点をカバーできるようになれば設定は満点!
私自身写真を始める前は『写真が上手い人=設定が上手い人』とか『マニュアルで撮れる人=上手い人』というイメージを持っていて、いつかそうなりたいとか思っていたりもしたんですが、今はいつでもどこでもイチからマニュアルで設定を決められるようになる必要は一切ないと考えています。
というのも、良い写真を撮るためには、設定以外にも構図とか現像とか大切なことがたくさんあって、むしろ後者の方が大切だと思っているから。
なので私のカメラの設定は、基本絞り優先。
その上で、先ほど触れたようなその絞り優先では上手く撮れない場面において自分でちゃんと対応する。これでどんな場面でも思い通りの設定で失敗なく撮ることができています。
基本はカメラ任せにして、任せられないところだけ補ってあげられるようになる。こうなれたら設定を完全マスターしていると胸張って良いと思います(*’▽’)
設定が考えやすくなる『基準』を覚えよう!
さて、いよいよ具体的な設定値の話に入っていきます。
私がいつもカメラの設定をするときに軸としているのが、シャッタースピード・F値・ISO感度それぞれの基準。これを決めてから設定するのがグッと楽になったので早速紹介していきますよーう(*’▽’)!
F値→基準値:F8
『F値を小さくすればするほど背景がボケる』と覚えていると、『F値を大きくすればするほど画面全体にピントが合う、よって風景などはF値を大きくする』と思いますよね。私も思ってたんですが、これには2つ注意点があります。
というのも、まずひとつはF値を上げすぎると回折現象(小絞りボケ)という、なんだか難しそうな現象が起き、画質が悪くなってしまう場合があること。
もうひとつが、先ほどの図を思い出すと分かるように、F値を大きくすると光の通り道が狭くなり、レンズを通って入ってくる光の量が減るので、シャッタースピードが遅くなり、場合によっては手ブレの原因となることです。
つまり、F値は適度に上げるのが吉。これらを踏まえて私は
- 画面全体にピントを合わせたい→F8
を基準にしています。なんでF8なのって聞かれると、これまで見てきた風景の作例の多くがF8-9程度で撮られていたからです(*’▽’)
また、背景をボカすためにF値を小さくするときに注意しているのが、気持ち絞る(=F値を大きくする)こと。
F値を小さくした方がよりボケるのは確かなんですが、気持ち絞った方が光の通り道が綺麗な丸になり、上の写真のような光源を丸くボカす玉ボケが綺麗に写るんです。
ちなみに上の写真もF1.8まで小さくできるレンズで、F2.5に設定しました(*’▽’)
もうひとつの理由は、少し絞った方がレンズの描写力が向上すると言われているから。
ブレやすい場面では、F値を小さくし、光の通り道を広くして短いシャッタースピードでも明るく写せるように設定するんですが、余裕があればF値を一番小さくするのではなく、気持ち絞った状態に設定することが多いです(例:F2.8が最小→F4)
こういうのは最後にちょっとした練習問題を用意しているので、そのとき具体的に考えてみましょう(*’▽’)
シャッタースピード→4パターンの基準を覚えよう!
お次はブレのコントロールで重要なシャッタースピード。既に何度か単語が出てきていますが、写真のブレには
- 手ブレ→撮影者のカメラを持つ手がブレること
- 被写体ブレ→被写体の動きを止められなかったことによるブレ
の2種類があり、それぞれ基準が異なります。
まず手ブレ。これには
- 1/焦点距離秒
という分かりやすい基準があります。
例を挙げると、50mm(APS-Cの場合は35mm換算で約75mm)で撮影する場合、手ブレしないシャッタースピードは1/50秒(APS-Cの場合は1/75秒)になります(*’▽’)シンプル!
なお、1/焦点距離秒はあくまでも『手ブレしない目安』なので、これより遅くしてもブレないことも。手ブレ補正搭載のボディ・レンズだと、これより結構遅くてもブレてなかったりします。
とはいっても、手ブレする基準を押さえておくのは大切。ブレは撮影後に編集・加工してもリカバリーのしようがないので、一番気をつけているポイントです。
次に被写体ブレ。動体と一言でいってもいろんなタイプがあります。というわけでタイプごとに書き出してみると
- 比較的遠い動体or遅い動体→1/160-1/200秒
- 近くの速い動体→1/500秒前後
- 近くの激しく動く動体→1/800-1/1000秒程度
こんな感じ(*’▽’)
あくまで私の今までの経験から決めた基準値なので、心配だったらこれよりも少し速くして、室内や夜など明るさが足りない場合は気持ち遅くしたり…と手を加えています。
ISO感度→カメラの感度上限とは別の上限を決める
最後はISO感度。
カメラにはそれぞれISO感度の上限が設けられていますが、その上限めいっぱいまでにすると写真がノイズだらけでザラッザラになってしまいます。つまり、カメラが上げられるISO感度上限と、実用できるISO感度上限は全くの別物なんですね。
ノイズ耐性はカメラによって大きく異なりますし、ノイズの感じ方も人によって異なります。色々撮っていく中で私は
- ISO3200-4000
を上限としています(*’▽’)
実際に設定を決めてみよう!
さて、ここからは練習問題として、今までの話を踏まえて実際に設定を考えるシミュレーションを3つほどやってみたいと思います(*’▽’)
Case1:カフェやレストランで食べ物を撮る
良いカメラを買ったら食べ物を美味しそうに撮りたい!という方は多いはず。
ただ、室内って人間の目には十分明るく見えるんですが、カメラには暗く感じられるという手ブレのリスクが高いシチュエーション。
ってことは、ここは絞り優先が使えないの?と思われるかもしれないんですが、あるポイントに気を付ければ、絞り優先で①背景ボケのコントロール②手ブレしないシャッタースピードの確保③必要最低限のISO感度という3条件を全てクリアできます。
というわけで、図をどーん!
図で示しているように、絞り優先において撮りたいF値を決めたら、シャッタースピードが手ブレしない基準すなわち1/焦点距離秒になるまでISO感度を上げていく。これが絞り優先の基本的な使い方になります。
なお、ISO感度はカメラ任せにすることもできるんですが、ちゃんと設定を決められるようになりたいなら、ISO感度は手動で決めた方が良いと思います。
文章だと小難しく感じられるかもしれませんが、実際にやってみると全く難しくないので、絞り優先で撮るならこの方法が失敗写真のリスクを最も少ないと思います(*’▽’)
Case2:動物園でレッサーパンダを撮る
お次はこの可愛いレッサーパンダさん。
レッサーパンダは動体なので、絞り優先は不向き。まずはシャッタースピード優先を使って撮ってみましょう(*’▽’)
上の図のように、シャッタースピード優先モードはシャッタースピードを撮影者自身が決めて、F値はカメラが勝手に決めてくれるんですが、ここでちょっと問題が。
1/500秒という一瞬のシャッタースピードで取り込める光の量はわずかなのと、F値を小さくして取り込む量を増やすのにもF値を小さくできる限界があります。
つまり、このままだと写真が不自然に暗くなってしまう可能性があるんです。
ここで使うのがまたしてもISO感度。ISO感度を上げることで明るさバーがぴったりになりました(*’▽’)
仮に被写体の周りが今よりも明るくなっても、適切な明るさバーにぴったり収まるようにカメラが自動でF値を大きくしてくれるので問題なし。
最初の頃は『ISO感度=夜使うもの』というイメージを勝手に持っていたんですが、動体を撮る時のシャッタースピード(1/500秒以上)はかなり速いので、こういった設定で撮影する場合は昼でもISO感度をある程度高くしておくことで露出不足を防ぐことができます。
なお目安としては、被写体や場面にもよりますが、晴れならISO320-640程度、曇りや日陰ならISO800前後かなと思いますが、このあたりは試し撮りで確認するのが一番です(*’▽’)
さて、さっきは『レッサーパンダの動きを止めること』だけを考えて設定を決めましたが、次は『背景をいい感じにボカす』という条件を加えて設定を考えてみましょう。背景がボケていた方がより主役の存在感が引き立ちますからね(*’▽’)
というわけで、今度はマニュアルモードでF値を小さく、そしてシャッタースピードを動体の基準値に固定します。
ただ、さっきのシャッタースピード優先での設定でも触れた通り、これだと光量不足になってしまう可能性がありますよね。ここで使うのがISO感度自動制御です。
これを使うことによって、固定したシャッタースピードとF値に合わせて明るさバーがぴったりになるようにカメラが勝手に感度を調節してくれます。便利!
勘の良い方はお気づきかもしれませんが、さっきのシャッタースピード優先において使えば、F値とISO感度を両方カメラ任せにできます。
なお、ISO感度自動制御を使う際は、ノイズの発生を最小限にするため、先に述べたISO感度の基準で必ず上限設定するのを忘れずに!
Case3:手持ち夜景
最後は手持ち夜景。なんだか難しそうな響きです。
さっきまでは『明るさの補助のためにISO感度を必要に応じて上げる』というアプローチでしたが、この場合は『いかにISO感度をこれ以上上げずに明るく写すか』という視点で設定を考えることになります。
三脚なしで夜景を明るく手ブレなくノイズもできるだけ少なく撮るのはかなり難しいので、私はいつも3段階に分けて設定を考えるようにしています。①で暗かったら②、②でも暗かったら③という流れです。
手持ち夜景の設定については以前ひとつの記事で紹介しているのと、ここまで読んできた力試しとして詳しい解説は省略します。ここでサクッと分かったあなたはもう設定マスターです(*’▽’)
補足:露出補正って何?
さて、ここまで読んでもしかしたら『あれ?設定の話なのに露出補正どこいった?』と思っていらっしゃる方がいるかもしれません。
露出補正とは『写真を明るくするならこのダイヤルをプラスに、暗くするならマイナスにする』というアレのこと。
実は私結構長い間『露出を変える=露出補正を変更する』だと思っていて、単に写真の明るさが変わるだけで、設定にはなんの変化もないのだと思っていました。
というわけで、絞り優先モードにおいて露出補正で写真の明るさを変える場合を図で示してみました。
露出補正を変えると撮りたい明るさバーの長さが変わり、そのバーの長さをぴったりと埋めるためにシャッタースピードが長く/短くなります。シャッタースピード優先の場合はF値が変化します。
つまり絞り優先のときに露出補正で写真が明るくなるのは、シャッタースピードが長くなったおかげでだったんですね。そうなるとこれ手ブレとも関係してきますよね。
私みたいに勘違いしていると設定ミスの原因になりかねないので、チェックしておきましょう(*’▽’)
おわりに
設定について押さえておきたいポイントを全部詰め込んだらこんなボリュームになってしまいました。ここまでお付き合いいただき本当に感謝です。
ここまで読んでくださって『なるほど分からん』と思ったポイントがあった方は、お家の中で良いので実際にカメラの設定をいじいじしながら読んでみてください。露出や設定は理屈を頭に入れるよりも、実際にカメラを触った方が絶対に分かりやすいですからね(*’▽’)
この記事がみなさんのカメラライフにとって、何か少しでもヒントになれば幸いです!
最後まで読んでいただきありがとうございました!