
スマホカメラの進化がめまぐるしい今日この頃。
新しい機種が発表されるたびに『もうこれ一眼いらないな』という声をあちらこちらで耳にします。かくいう私も以前iPhone XSが発売された直後に、
『綺麗に撮れるカメラが欲しいです!おすすめありますか??』って聞かれたら114514%『iPhoneXS』って答えるレベル
— megu (@photo_c_mei) 2018年10月13日
なんて言ってた人です。
『カメラを買うか迷っている』という人の中には『スマホで十分かも…』と悩んでいる方も少なくないはず。今回は『スマホカメラがあれば一眼いらない説』について私の考えをまとめてみたいと思います。
『スマホがあれば一眼はいらないのか問題』について真剣に考えてみた

『一眼はもう必要ない』と言えるための条件は、スマホカメラに弱点があって、一眼がその弱点をクリアしている場合。
というわけで、まずはスマホカメラの強みと弱みについて整理していきたいと思います。
スマホカメラの強みと弱み

表にまとめるとこんな感じ。
『設定が勝手に最適なものになる』『見たままの明るさ・色味で撮れる』の2点に関しては、以前iPhone XSのカメラのすごさを語った記事で詳しく述べてます。
読んでいない方のために簡単にまとめると、一眼は設定を考える必要があるが、スマホカメラは設定を考えなくても綺麗に撮れるので優秀すぎるという話です。


また、ほんの少し前まで『スマホは背景がボケない・一眼はボケる』と言われていましたが、もうこれは最近弱みではなくなったと言っていいように思います。
上の写真はiPhone XSで撮ったものですが、自然に綺麗にボケています。今後もこのあたりはどんどん進化していくことでしょう。
『スマホの弱み』を一眼でカバーすると写真はどう変わる?
もう一度整理すると、スマホカメラには次の3つの弱みがあります。
- ノイズ耐性に欠ける
- レタッチ耐性に欠ける
- レンズ交換ができない
これらの弱点は一眼で全て克服することができるんですが、ここで気になるのがこれらの弱点を一眼でカバーすることで、写真のクオリティはどれくらい変わるのかということ。
もし写真のクオリティが見違えるくらい変わるなら『スマホカメラが進化してもやっぱり一眼は必要』と言えますし、逆にあまり変化がないなら『一眼はいらない』と言えますね。
というわけで、ここからはスマホカメラの3つの弱点を一眼でどうカバーできるのかを実例で見ていきたいと思います。
スマホカメラの弱点①ノイズ耐性に欠ける

画質劣化の大きな原因のひとつであるノイズ。
ノイズがどれくらい発生するかは一眼の機種によって結構大きな差があるんですが、スマホカメラより一眼の方がノイズをコントロールしやすいんです。
というのも、どの程度ノイズが発生するかはISO感度という設定項目によって決まるんですが、一眼なら設定の工夫次第で極力ノイズが出ないよう設定することが可能。
スマホにも設定をコントロールできるアプリはあるのですが、同じ設定でもスマホよりも大きなセンサーを搭載できる一眼の方がノイズは発生しにくいです。


また、このすぐ後に述べますが、一眼ではより柔軟に画像処理ができるフォーマットで記録することが可能。それを活用することで撮影後にノイズを綺麗に除去することもできます。
左がノイズ除去前・右がノイズ除去後の写真を拡大したものです。真ん中の白いバーを動かして見比べてみてください。
ノイズは画質にダイレクトに影響を与えるので、それを考えるとノイズへの対応力がある一眼の強みは明らかです。
スマホカメラの弱点②レタッチ耐性に欠ける

アプリなどで写真の加工を楽しまれている方も多いはず。
思っていたよりも暗く写ってしまった写真を明るくしたり、色味を変更したりする中で、画質の劣化や色味の変化を経験された方もいらっしゃると思います。
スマホカメラで撮れる写真のフォーマットはJPEG・HEICがメジャーですが、これらの画像形式は撮影後の加工・レタッチに強くないんです。


この点において、一眼は撮影後に写真の明るさや色味の調整がしやすいRAWというフォーマットで撮影が可能。このフォーマットの写真を専用ソフトで編集することをRAW現像と言います。
上の写真は、思っていたよりもかなり暗く、見たままとは異なる色味で写ってしまった夜景をRAW現像したもの。左がビフォー・右がアフターです。
あたかもそのときその場で適切な設定で撮影したかのように綺麗に編集できていますよね。


ちなみに、上の例はスマホカメラと同様のJPEGで保存したものを同じように編集したもの。
ブログ用に画像圧縮していることもあって分かりにくいかもしれないのですが、編集後の写真(右)の左上が階調破綻により汚くなってしまっています。


最近はRAW撮影が可能なスマホも出てきているのですが、一眼よりもかなりセンサーサイズが小さいので、一眼で撮影したRAWデータの方がより柔軟な編集が可能。
写真を細かく編集して思い通りの1枚をゲットするには、まだまだ一眼が有利と言えます。

スマホカメラの弱点③レンズ交換ができない

これに関してはiPhone11が超広角撮影に対応して、スマホのデメリットとも言えなくなってきたのですが、とはいえスマホカメラはレンズ交換ができません。
なので、上のような魚眼レンズの歪みを活かした写真や、思いっきりズームした望遠撮影などはまだまだ一眼ならでは。
『魚眼風・望遠風』にできるクリップレンズもありますが、スマホの写真を無理やり引き伸ばしたりズームしたりするので、画質が悪くなってしまいますしね。
結論:正直一眼がいらない人の方が多いと思う

ここまで読んでみて、大きな違いを感じた方もいれば、あんまり変わらないなと思った方もいると思います。
『一眼買うか迷ってるけどスマホで良い気がする』という相談を今まで何度もいただいたのですが、正直なところこれといった理由がない限り一眼は必要ないと考えています。
私自身現在進行形で一眼で写真を楽しんでいる一人ですし、これそもそも写真とカメラのブログなんですが、それでもそう感じるレベルでスマホカメラは本当に優秀です。
『スマホより一眼の方が良い写真が撮れるはず』は過去の話


過去記事でも何度かお話ししていますが、ただ撮るだけならスマホも一眼も写真のクオリティにおいてそこまで差はありません。むしろ、最新機種だと下手したらスマホの方が綺麗に撮れるケースも多いです。
例えば上の写真、どっちが一眼でどっちがスマホか分かりますか?答えは左が一眼・右がスマホ(iphone11)です。
印象的な写真を撮る上において、『撮る機材が一眼かスマホか』は本当に関係がないので、『一眼の方が良い写真が撮れますよね?』という問いには、間違いなく『No!』と答えます。
実際私の周りにも数人いますが、『良い写真が撮りたいから一眼』という考えで買うと、期待はずれで後悔する可能性がかなり高いです。

一眼を買う『これと言った理由』

そんな凄いスマホカメラを一眼が超えるカギとなるのが、レタッチとレンズ交換。
これらを活用することで初めて『スマホでは撮れない写真』を一眼で撮れるようになると言って良いので、レタッチやレンズ交換の必要性がある場合はスマホがあっても一眼は必要と言えます。
スマホカメラってすごいなと思いながらも私が一眼を使い続けているのも、レンズ交換とレタッチが好きだからですしね。
ただ、ここで誤解してほしくないのが、レタッチやレンズ交換に興味がないなら一眼は必要ない・買わない方が良いという意味では断じてないことです。
『カメラへの憧れ』があるなら一眼は必要

今一眼の購入を検討していてこの記事を読んでくださっている方の中には、『レンズ交換とかレタッチとかするか分からないし、一眼向いてないか…』と思われたかもしれません。
ただ、現実的に考えて、一眼を買う前の人が『こういうレンズ構成にしたい』とか『こういうレタッチを極めたい!』という考えが出来上がってることの方が稀。
ここまでドヤ顔で色々語っておきながらアレなんですが、私自身一眼を買った理由は『オリンパスのミラーレスを首から提げれば、CMの宮崎あおいみたいになれるかもしれない』ですし、レタッチやRAW現像という単語を耳にしたことすらありませんでした。

『一眼の方がスマホよりも綺麗な写真が撮れる』という時代は終わりましたし、綺麗に撮るだけならスマホがあれば一眼はいらないと言っていいです。
でも、一眼でしか撮れない写真がある。一眼だけでしか味わえない写真撮影の楽しさがある。
実際『カメラを構える・ファインダーを覗く・シャッターを押す』というフローが加わるだけで、景色の見え方や感じ方がガラッと変わります。ほんとに。
こういった感覚・楽しみは、これからどんなにスマホカメラが進化しても一眼でしか味わえません。なので、『カメラへの憧れ』がある人には間違いなく一眼は必要だと思います。
おわりに
もしこの記事を読んでみて『一眼買おう!』と思われた方がいらっしゃったら、カメラ選びや写真の撮り方についての記事もあれこれ書いているので、また遊びに来ていただけると幸いです(*’▽’)
最後まで読んでいただきありがとうございました!

