F値、ISO感度、露出…写真を趣味にし始めると聞きなれない新しい単語にたくさん出会いますよね。
説明を聞けばすぐにピンとくるものもあれば、そうでないものもあるはず。写真を始めたての私にとって、RAW現像は後者でした。
『RAWとは生のデータのことで、撮った後の綺麗に編集ができる!』と言われてもなんかしっくりこなくて、そのすごさが分からなくて挑戦してみる気にならない。そんな感じでずっとRAW現像を避けていたんですが、そういう方って私以外にも結構いるんじゃないかなと思うんです。
というわけで!今回はRAW現像はどう使うのか・何ができるのかを、風景写真と夜景写真の2回に渡って実際に現像をしながら語ってみたいと思います(*’▽’)今回は風景編です!
目次
RAW現像ってどう使うの?何ができるの?実例使って解説してみる!【風景編】
今回の記事で使うもの
今回現像してみるのは、ひまわり畑でのこの1枚です。
この記事は『RAW現像で何ができるのか・どう使うのか・写真がどう変わるのか』をテーマとしているので、RAWについての説明は以前書いた記事に任せたいと思うんですが、この記事を読むにあたっては
- RAW=写真が写真になる一歩前のデータ
- RAW現像=カメラが写真を処理するプロセスを自分でやっちゃうこと
そして、RAW現像には現像ソフトが必須。今回は現像ソフトとして最もメジャーなAdobe Photoshop Lightroomを使います。
なお、写真の編集はRAW現像の他にレタッチと呼ぶこともあり、この2つの意味は違いがあるみたいなんですが、この記事ではLightroomで編集することをRAW現像と呼ぶことにします(*’▽’)それではスタートです!
RAW現像をやってみよう!
写真を趣味にしていると思い通りの1枚が撮れずに悩むことは日常茶飯事だと思うんですが、私がカメラを手にしてすぐの頃、特に悩んだのが見たままの青空が綺麗に撮れないことでした。
他にもカメラのシャッターを切っただけではどうも思うように撮れない部分ってたくさんありますよね。上の写真でも青空以外にも色々と気になるところがあったので、ざっと書き込んでみました。これがRAW現像の設計図になります。
シャッターを押して思い通りに撮れないときって、カメラの設定が悪いのか?それともカメラの性能が悪いのかな?なんて思うかもしれないんですが、カメラの設定だけで変えられることって実はそんなに多くない。
なので、私にとってのRAW現像は『カメラの設定では厳しい部分』を撮影者が後から補ってあげるツールというイメージ。というわけで、この設計図を基にRAW現像進めていきましょう(*’▽’)!
レンズプロファイルを適用する
私たちがいつも使っているカメラのレンズにはその特性上歪みや色収差などといった現象がおきてしまうことがあります。
記事のテーマと少し離れてしまうのと、個人的にその原理まで知るのがめんどくさいので私は『表面が球体であるレンズで真っ直ぐなものを撮ろうとすると、どう頑張っても写真とか光が曲がってしまって歪みや色のズレが出てしまう』というイメージで捉えています。
Lightroomにはレンズごとの歪みや色収差の補正プロファイルが登録されているので、私のRAW現像はまずこれをポチポチっとするところから始めることがほとんどです。


こう比べると左の補正前は丸まるような感じで歪んでいたのと、写真の四隅が暗くなってしまっていたことが分かると思います。補正をかけるとピンと伸びた感じになりましたね(*’▽’)
気にならないこともあったりするんですが、上の写真は20mmという広角で撮影したもの。一般的に広角で撮った方が歪みが出やすいので、今回は補正はオンでいきましょう。
露光量を調節する
F値とシャッタースピード・ISO感度の3つによって決まる写真の明るさ。これを写真用語で露出と言います。
撮影時に設定をあれこれ変えて明るさを調節していると思うんですが、帰って見返してみたら思ったよりも明るかった・暗かったということは誰しも一度は経験するはず。
また、影になってしまう部分を明るく写そうとしてそちらに明るさを合わせると、今度は既に十分明るい空の部分が白っぽくなったり、青空が薄く写ってしまった…なんて経験がある人もいるはず。
上の写真もヒマワリが影にならないように明るさを調節したら空が不自然に白くなってしまっていますよね。
基本的に設定を変えると写真全体の明るさが変わってしまうので、暗い部分は明るく・明るい部分はそのままにといった高度な明るさ調整をシャッターを切るだけで実現するのはほぼ不可能。これが青空と風景を思い通りに撮れない原因なんですね。


この後すぐに述べますが、RAW現像では細かい明るさを調節することが可能なので、ここではひとまず全体がそれなりに明るく感じられるくらいにしておきます(*’▽’)
ホワイトバランスを調節する
曇天や蛍光灯など、カメラにはホワイトバランスのパターンがいくつか用意されていると思うんですが、そういった固定のホワイトバランスで撮ると雰囲気はガラッと変わる反面、不自然な色味になってしまうこともしばしば。なので、私は基本的にホワイトバランスはオートで撮影しています。
RAWで撮っておけばまだホワイトバランスは確定されていない状態なので、色温度などの微妙な数値を変更し、より細かく思い通りの色味にすることができるというわけです。
カメラの設定で細かく色味を調節することは一応できますが、毎回毎回色味を細かく設定して撮るのは現実的ではありませんし、ここもRAWの強みですね。
今回はカメラ(Nikon D750)任せのWBオートでいい感じの色味になっていたので撮影時の設定のままにしておきました(*’▽’)
シャドウ部分を持ち上げる
ここからは先ほど『カメラの設定だけでは難しい』と話した細かい明るさの調整をしてみます。
長々と説明するよりも実際にやってみた方が分かりやすいので、シャドウという項目をプラスに振って影になっている部分だけを明るくしてみましょう!ほい!


そう考えると人間の目には空は濃い青色に、ひまわり畑はまぶしいくらい明るく見えていたわけですし、人間の目ってめっちゃ優秀なんですねー。
ハイライト・白レベル
さっきは写真の暗い部分の明るさをシャドウで調節しましたが、Lightroomではこういった写真の部分的な明るさを調節する項目が他にも3つあります。
影になってしまった部分の補正が終わったところで、今度は空の明るさを調節していきましょう(*’▽’)
ここで用いるのはハイライトと白レベルという項目。ハイライトは聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、白レベルは現像してないと触れる機会のない単語なのではないかと思います。
Lightroomを使い始めた頃、この2つの違いが全く理解できてなかった私。
調べてみると、各項目によってヒストグラムという写真の明るさを表すグラフの動かせる範囲が異なるらしいんですが、そんな難しいこと私には理解できないので、
- ハイライト→写真の明るい部分
- 白レベル→写真の明るい部分の一番明るい部分
勘の良い方はピンときたかもしれないんですが、さっき調整したシャドウと黒レベルという項目は、
- シャドウ→写真の暗い部分
- 黒レベル→写真の暗い部分の中の一番暗い部分


ただ、これだけでは雲の立体感がなくてちょっと寂しいので、ここから少し白レベルをプラスにして一番明るい部分を明るくすることでメリハリのある空になるように調整するのが私のおきまりのパターンです。


微妙な変化ではあるんですが、画面中央の大きな雲に着目すると違いが分かると思います(*’▽’)
彩度を上げて鮮やかな印象に
目には色鮮やかに映っているのに、撮ってみるとなんか味気ない…と感じたことがある方も少なくないはず。彩度も写真の印象を決める重要なポイントですよね。
カメラのピクチャーコントロールなどを『ビビッド』などに変更するのもひとつの方法なんですが、これもまたRAW現像で写真に合わせて調整するのが一番自然に仕上がると思います。
Lightroomには彩度と自然な彩度という2つの項目があり、私がいつも使うのが自然な彩度。
彩度が『全ての色の彩度を一緒に上げる』のに対して、自然な彩度は『既に彩度が高い色には変化を極力加えず、彩度が低い色の鮮やかさだけを上げる』のだとか。すげー!


コントラストを調整する


- コントラストをプラス→明るい部分はより明るく・暗い部分はより暗く⇒メリハリある印象に
- コントラストをマイナス→明るい部分と暗い部分の差が小さく⇒フラットな印象に
上では試しにコントラストをプラスにしてみたんですが、比べてみると明るい雲の部分がより明るく、背景の山やひまわりの中心部分などはより暗くなっているのがなんとなく分かると思います。


段階フィルターで部分補正をする
これでおおよそ出来上がっているんですが、せっかく仕上げるなら100点にしたい。そう思って見てみると空がもう少し色鮮やかだったなとかもっとひまわりの存在感があったなとか感じる部分があります。
ただ、ここで全体の彩度を上げてしまうとちょっと目にうるさい1枚になってしまいそうので、部分補正ツールを使ってさらに思い通りに仕上げてみたいと思います。
Lightroomには段階フィルター・円形フィルター・補正ブラシの3つの部分補正ツールがあるんですが、今回は範囲が写真の上下にスパッと分かれているので段階フィルターを使います。
上の画像の赤くなっている部分がフィルターがかかっているエリア。この部分だけに彩度を足してみましょう。


ちなみに、段階フィルターだとどうしても空の近くにあるものにも効果が追加されてしまって『空だけ選択』が難しいこともあったりするんですが、最新版のLightroomCCでは範囲マスクというツールが新たに使えるようになっていて、空だけ選択するのが容易になっているみたいです(*’▽’)
また、最初に全体的なハイライトを落としたことで、ひまわりの明るさもちょっと落ちてしまっているので、よりひまわりを明るく元気なイメージにするため、今度は写真下の部分にだけ段階フィルターを適用。
ここにハイライトと白レベルをこの部分だけに少しプラスしておきます。


最初から別々に編集すれば?と思った方もいらっしゃると思うんですが、うまくバランスを取らないと空と風景でちぐはぐになってしまいそうなので、私は段階フィルターは全体的に整えた後の部分微調整として使っています(*’▽’)
完成!
それではビフォーアフターをご覧いただきましょう。どん!
・・・


劇的ビフォーアフターのBGMが自然と脳内に流れてきます。所さんもびっくりです。
今回はRAW現像の効果が分かりやすいようにいつもよりも気持ちオーバーな感じで仕上げてみたんですが、あの日見た眩しさを感じる夏の景色が見事に蘇りました。これはもう所さんもびっくりすること間違いなしですね(*’▽’)
おまけ
記事のボリュームの都合や、私の好みなどの理由で今回は使わなかった項目がいくつかあります。
写真や現像する人の好みによって使う項目は異なってきますし、記事ひとつでは語りつくせないくらいRAW現像ではいろんなことができます。もしこの記事で興味を持った方はLightroomには無料体験版もあるので是非実際に触ってみてください(*’▽’)
また、もしかしたらここまで読んでみて『これRAWじゃなくてもJPEGで画像加工すればよくない?』と思った方もいらっしゃるかもしれません。
実は私も同じ疑問を持っていて、以前記事であれこれ実験してみたことがあったので、もしよければこちらもチェックしてみてくださいね(*’▽’)

おわりに
さてさて、いかがでしたでしょうか?
『RAW現像をしたところで写真がどんな風に変わるのかわからなかった』というのが、私がRAW現像になかなかチャレンジできなかった理由だったんですが、青空の風景を初めて現像したときは『自分の写真ってこんなによく撮れてたのか!』と感動したので、今回上の写真を実例としてセレクトしてみました。
この記事がみなさんのRAW現像チャレンジのきっかけになれば幸いです(*’▽’)
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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